千歳市立勇舞中学校

北海道千歳市勇舞三丁目に位置する千歳市立勇舞中学校は、市内の新興住宅地として発展が進む勇舞地区にあります。学校の周囲は、新たな宅地開発による住宅地と豊かな農地が広がり、その間に位置しています。生徒たちは主に北陽、北光、長都駅前、勇舞、みどり台といった地域から通学しており、これらのエリアはJR長都駅へのアクセスが良いことから、近年人口が増加している地域です。

学校の西側には千歳川の支流である勇舞川が静かに流れ、自然豊かな景観を作り出しています。一方、学校の北側には市道南28号線、通称「戦車通り」が走っており、その名の通り、自衛隊の車両や戦車が行き交う光景が見られます。特に毎月の訓練の前後には、多くの戦車が隊列を組んで走行する様子を、校舎の窓から目にすることも珍しくありません。このように、勇舞中学校は自然と地域社会の営みが交錯する独特な環境に立地しています。

設立の背景と歩み

勇舞中学校の設立は、周辺地区における急速な宅地開発とそれに伴う生徒数の増加が背景にあります。特に、千歳市立富丘中学校では生徒数の収容能力が限界に近づいていたため、新たな中学校の必要性が高まりました。2008年に分離校の基本構想検討委員会が設置され、新設に向けた動きが本格化。2009年には校名が正式に「千歳市立勇舞中学校」に決定しました。その後、準備委員会が発足し、校章制定などを経て、2012年4月に市内10番目の中学校として開校しました。千歳市内における中学校の新設は、1987年の千歳市立向陽台中学校以来、25年ぶりという長い空白を経ての実現となりました。開校当初は、分離元の富丘中学校からの生徒が混在していたため、富丘中学校の制服を着用する2・3年生と、勇舞中学校の新制服を着用する1年生という状況でしたが、2014年度には全学年で新しい制服に統一されています。

校歌と制服

勇舞中学校の校歌は、開校当時の初代校長であり、音楽教諭でもあった人物が自ら作詞作曲を手がけました。学校の始まりを象徴する、手作りの校歌として生徒たちに歌い継がれています。制服については、開校に際して北陽小学校および富丘中学校のPTAによる協議を経てデザインが選定されました。スクールカラーである爽やかな青色が、男子のネクタイや女子のリボン、体操服のデザインに取り入れられています。

校舎と充実した施設

学校施設は、鉄筋コンクリート造りの3階建て校舎を中心に構成されています。校舎には体育館と武道館が併設されており、多様な体育系活動に対応しています。また、環境への配慮から太陽光発電設備が設置されています。校舎内部は、近代的な建築様式を取り入れつつ、温かみのある木材が随所に使用されており、機能性と心地よさが調和した空間が広がっています。グラウンドは約20,400平方メートルの広さを誇り、野球とサッカーの練習を同時に行うことができる十分なスペースがあります。学校敷地の外周は約1kmあり、生徒たちの体力向上やトレーニングのためのランニングコースとしても活用されています。学校全体の敷地面積は33,084.80平方メートル、校舎棟の延床面積は6,260.28平方メートル、武道場を併設する講堂棟は1,519.42平方メートルです。これらの施設建設にかかった総工費は約29億6000万円でした。

生徒数と教育目標

2020年現在、勇舞中学校には合計676名の生徒が在籍しており、19学級で構成されています。学年ごとの内訳は、1年生が224名（7学級）、2年生が236名（7学級）、3年生が214名（6学級）です。学校が掲げる教育目標は「瞳をきらめかせ希望に満ちた未来を拓く」です。この目標に基づき、生徒たちが互いを思いやる豊かな人間性、高い志を持って学びに励む確かな学力、そして困難に立ち向かうたくましい心身と目標を実現する能力といった、「人間力」「知力」「実践力」の三つの柱を育むことに重点を置いた教育活動を展開しています。

学校生活と活動

勇舞中学校では、年間を通して多彩な行事が実施され、生徒たちの成長を促しています。4月の始業式、入学式に始まり、5月には全校生徒で盛り上がる体育祭が行われます。夏休み前には2年生の宿泊研修、秋には文化祭や3年生の学力テスト、そして1年生の自主研修などが実施されます。冬には1・2年生がスキー学習に取り組み、卒業式、修了式で一年を締めくくります。これらの行事の間に、標準学力検査や各学期の定期テストが実施され、学習の定着度を確認しています。

部活動も盛んに行われており、生徒たちは放課後、熱心に活動に取り組んでいます。体育系では剣道部が知られ、2014年には北海道代表として全国大会に出場する実績を残しています。文化系では吹奏楽部が活躍しており、札幌地区大会において金賞や銀賞を複数回受賞するなど、高い実力を示しています。その他にも美術部や家庭部があり、それぞれの興味・関心に応じた活動が行われています。

周辺環境と交通アクセス

勇舞中学校の通学区域は、主に千歳市立北陽小学校区と千歳市立みどり台小学校区の地域を含んでいます。学校区内には、生徒たちの生活や地域社会を支える様々な施設があります。公共施設としてはJR長都駅や市立千歳市民病院があり、商業施設ではスーパーマーケット（フードD365、スーパーアークス）、ドラッグストア（ツルハドラッグ）、ショッピングモール（ちとせモール）、各種飲食店やコンビニエンスストアなどが充実しています。教育施設としては、連携の深い千歳市立北陽小学校や、北海道千歳北陽高等学校などが近隣に位置しています。

交通アクセスとしては、鉄道利用の場合、JR千歳線長都駅の東口から学校まで徒歩約15分です。バスを利用する場合は、千歳相互観光バス・道南バスの勇舞空港線「勇舞中学校前」停留所が学校の目の前にあります。また、北海道中央バスのみどり台線「北陽4丁目」停留所からも徒歩約4分と、複数の公共交通機関を利用可能です。

2012年に新たな歴史をスタートさせた勇舞中学校は、地域の発展と共に歩み、生徒一人ひとりの可能性を引き出す教育を目指しています。自然豊かな環境と充実した施設のもと、生徒たちは日々、希望に満ちた未来の実現に向けて学び、活動しています。

もう一度検索