千葉定胤

千葉定胤（ちば さだたね）

千葉定胤は、元和3年（1617年）に生まれ、慶安2年1月11日（1649年2月22日）に33歳で亡くなった、江戸時代初期の武士です。千葉氏の第33代当主であり、第31代当主・千葉重胤の子として生まれました。

千葉氏の当主として

千葉氏の伝承によると、重胤が寛永10年（1633年）に亡くなった後、その弟である俊胤が当主となりました。しかし、俊胤が6年後に浅草鳥越神社の神主として亡くなると、定胤が後を継ぎ、33代目の当主として千葉介を自称したとされています。

浪人生活と旧臣との関わり

定胤は浪人として下総国香取郡の五郷内（現在の千葉県香取市）に住み、帰農した旧臣たちの世話を受けていたと伝えられています。五郷内の隣にある久保には、久保神社が所蔵する千葉親胤の画像が残っており、これは定胤が描いたものだとされています。現在、この画像は香取市の指定文化財となっています。

この画像について、角田𠮷信は興味深い考察をしています。定胤の曽祖父にあたる千葉胤富が、甥（または弟）とされる親胤を暗殺して家督を継いだため、胤富とその子孫は親胤の怨霊を恐れていたのではないかとしています。定胤が親胤の菩提を弔うため、親胤寺（現在は廃寺）にこの画像を納めたのではないかと推測しています。

千葉氏再興への志と急死

慶安元年（1648年）11月、定胤は千葉氏の再興を決意し、旧臣に官途状を発給しました。また、香取神宮には家名再興を祈願する文書が残っています。しかし、そのわずか2か月後、定胤は病のために33歳で急死しました。法名は常光院殿雪林南岸大居士です。

定胤には嫡男七之助がいましたが、定胤に先立って亡くなっていたため、千葉邦胤系の千葉宗家は断絶しました。

千葉氏再興運動の継続

定胤の死後、千葉氏の旧臣たちは、邦胤の兄とされる千葉良胤の子孫を当主に迎え、家名再興運動を継続しました。この運動は、千葉氏の歴史における重要な転換点となりました。

まとめ

千葉定胤は、千葉氏の再興を夢見た武士でした。短い生涯ではありましたが、彼が残した足跡は、千葉氏の歴史において重要な意味を持っています。彼の行動は、千葉氏の再興運動へと繋がり、その後の歴史に大きな影響を与えました。


参考文献
* 角田𠮷信「香取市久保・久保神社｢千葉親胤御影｣について―作者・江戸時代初期の千葉定胤（千葉氏当主）―」（初出:『香取民衆史』10号（2007年）/所収:石渡洋平 編著『旧国中世重要論文集成 下総国』（戎光祥出版、2019年） ISBN 978-4-86403-313-8 P106-128.）

もう一度検索