千葉胤富

千葉胤富（ちば たねとみ、たねとむ）

千葉胤富は、戦国時代に活躍した下総千葉氏の第27代当主です。千葉昌胤の次男として生まれ、幼名は其阿弥と称しました。外交手腕に優れ、戦国乱世を生き抜いた武将として知られています。

生涯

父・昌胤は須賀山城を破却し、その近くに森山城を築いて胤富を配置しました。胤富は森山城にいる間、妻の菩提を弔うために須賀山城址に芳泰寺を建立しました。その後、大叔父にあたる神島胤重の娘を妻に迎え、彼女が後に千葉直重の家督相続に貢献したと伝えられています。

当初、胤富は東総領主・千葉六党東氏一族の海上氏を継承しましたが、弘治3年（1557年）に弟（または甥）の親胤が家臣によって殺害されたため、宗家の家督を継ぐことになりました。家督を継いだ後、栗飯原入道を森山城に置き、室町幕府の奉公衆にならって、千葉一族や重臣で構成される森山衆を新設したとされています。

永禄3年（1560年）、上杉謙信が古河公方の足利義氏を攻めた際には、北条氏康の要請に応じて援軍を派遣しました。翌永禄4年（1561年）には里見氏の家臣である正木信茂の侵攻を受け、臼井城や小弓城を奪われました。しかし、同年には上杉謙信が11万の大軍を率いて小田原城を攻めた際には、後北条氏に援軍を派遣しました。その後、謙信と和睦し、鶴岡八幡宮で行われた謙信の関東管領就任式に参列しました。この際、小山高朝と諸将の首位を争いましたが、謙信の仲裁により胤富が首座となりました。

永禄5年（1562年）には後北条氏の支援を受けて、正木氏に奪われた臼井城や小弓城を奪還しました。臼井城の戦いでは、上杉謙信を撃退する活躍を見せています。その後も里見氏との戦いが続き、元亀2年（1571年）には小弓城で里見義弘と交戦しています。胤富は天正7年（1579年）に53歳で亡くなりました。

実績と評価

胤富は後北条氏との関係を深めることで、上杉謙信、結城氏、里見氏などの侵攻を食い止めました。また、武田信玄、上杉謙信、足利義氏、佐竹氏、里見氏などと戦い、多くの勝利を収めました（『千葉大系図』）。これにより、千葉宗家の勢力を維持することに成功しました。

佐倉市の海隣寺にある海隣寺中世石塔群には、胤富の菩提を弔った石塔も含まれています。また、佐倉市大佐倉の勝胤寺にある勝胤寺中世石塔群も、胤富などの菩提を弔うために建てられたものです。

補足

胤富の外交手腕は、戦国時代の複雑な情勢の中で、千葉氏の勢力を維持するために重要な役割を果たしました。彼の功績は、現在でも多くの人々に語り継がれています。

参考資料

佐藤博信「戦国期佐倉千葉氏の権力形態特に「自敬表現」に注目して」『千葉大学人文研究』第41号、2012年。https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900116694/
松戸市デジタルミュージアム（松戸市立博物館） - 千葉胤冨書状
コトバンク - 『千葉胤富』
その他、千葉氏に関する資料

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