千葉県東方沖地震 (1987年)

千葉県東方沖地震の概要

千葉県東方沖地震は、1987年12月17日11時8分17秒に千葉県房総半島、特に九十九里浜近くで発生した地震で、震源の深さは57.9km、マグニチュードは6.7（Mw 6.7）です。この地震は、約15秒前に発生した前震（M 2.7）の後に続く本震として記録されています。特徴的な断層様式は、逆断層成分を含む右横ずれであり、津波は観測されませんでした。

地震の発生要因

この地震は、関東地方南部の複雑な地殻構造に起因しています。具体的には、北アメリカプレートが表層で存在し、相模湾から沈み込むフィリピン海プレートおよび太平洋プレートとの相互作用により、スラブ内での断層運動が引き起こされました。

各地の震度

地震の影響は広範囲に及び、特に千葉県内で震度5以上を記録しました。具体的な震度の地域的分布は多岐にわたり、多くの人々が揺れを感じました。

被害状況

この地震により千葉県では甚大な被害が生じました。千葉県総務部消防防災課の資料によると、死者は2名、重傷者は26名、軽傷者は118名であり、建物に対する影響も深刻でした。全壊した建物は16棟、半壊は102棟、一部破損に至った建物は約6万3692棟に達しました。さらに、火災も3棟で発生し、山地崩壊も102カ所で報告されています。被害が集中したのは千葉県ですが、神奈川県三浦半島でも斜面崩落による事故が発生しました。

この地震は、関東地方での大きな被害をもたらした地震としては、1923年の関東大震災及びその余震である1924年の丹沢地震以来の注目を集めました。また、九十九里浜沿岸地域では道路の陥没や屋根瓦の崩落が発生し、特に液状化現象が影響を及ぼしました。

当時、各市町村には自動計測機器が設置されておらず、気象庁の公式信息においては最大震度5に設定されました。しかし、研究者が実施した住民へのアンケート調査からは、千葉県大網白里市や東金市、長南町では震度6弱に相当する揺れがあったとの見解も示されています。

その他の影響

防災行政無線の情報伝達が混乱したため、住民に的確な情報が伝わらなかった事例もあり、緊急時における情報の重要性が浮かび上がりました。また、地震後に宇佐美温泉等では源泉温度の異常な上昇が観測されたことも報告されています。

付近の地震活動

千葉県東方沖では、相模トラフから沈み込むフィリピン海プレートとの相互作用により、スロースリップ現象がしばしば発生しています。過去31年の間に7回のスロースリップが観測され、その活動には2年2ヶ月から7年7ヶ月の間隔があります。この現象が千葉県東方沖地震の発生にどのように寄与したかは今後の研究による解明が期待されています。

この地震は千葉県にとって忘れられない歴史的出来事であり、地震に対する防災意識の重要性を再確認させるものとなりました。

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