午砲台

午砲台の歴史と全国的展開

午砲台（ごほうだい）は、日本の報時を目的とした空砲を撃つ場所であり、明治時代に全国各地に設けられました。1871年（明治4年）に午砲制が定められ、これ以降、多くの都市に午砲台が設置されることになります。空砲が発射される音は「ドン」という表現で親しまれ、そのために「ドン山」といった愛称を持つ午砲台も存在しました。

皇居旧本丸跡

1871年10月22日、皇居内の江戸城本丸跡で陸軍近衛師団が初めて報時を開始しました。以降、午砲台は海軍兵学校などに移転を繰り返しましたが、1922年に軍の経費削減に伴い、東京市が業務を引き継ぎました。1929年には、サイレンによる報時に変更され、午砲による報時は終了しました。1968年には皇居東御苑が開園し、午砲台跡は整備され、現在もその歴史を語る小さな石碑が残されています。

千葉県習志野原の午砲台

千葉県習志野市の東習志野に位置する午砲台は、演習中の兵士に時間を伝えるために設立されました。今では地域の名所として親しまれています。

新潟県ドン山

新潟市に設けられた午砲所は1873年に設置され、地元では「ドン山」と名付けられました。1919年に報時塔が建設されると、汽笛による報時が開始され、午砲からの報時は廃止されました。現在、ドン山の周囲は公園として整備され、砲のレプリカが設置されています。

大阪城趾の午砲台

大阪城地区では1870年に午砲が始まり、翌年には城内に移されました。しかし、1922年に業務が廃止され、2006年には大阪城公園に砲が展示されています。

岡山県ドン山

1909年、岡山市の半田山に設置された午砲台は、軍が運営していましたが、大正時代に廃止。2009年には当時の遺構が発掘調査により確認され、復元された午砲が展示されています。

福岡市の午砲場

福岡市では1888年、民間の号砲会社が設立され、午砲が発射されるようになりましたが、数度の移転を経て1892年には市役所が業務を引き継ぎました。しかし、1931年に廃止され、その後の管理は博物館にて行われています。

その他の地域と国外の午砲台

長崎市では1903年に午砲台が設置され、その後廃止されましたが、現在は公園として整備されています。熊本城内でも報時業務が行われましたが、1943年に廃止されました。また、香港の銅鑼湾やカナダのハリファックス市では今も現役の午砲台が存在します。

終わりに

このように、午砲台は日本各地で時報の役割を果たし、地域の文化や歴史に大きな影響を与えてきました。現在でも、その名残として一部の地域には関連する施設が残され、歴史を今に伝えています。

もう一度検索