協奏的舞曲

協奏的舞曲（Danses concertantes）

イーゴリ・ストラヴィンスキーが1941年から1942年に作曲した『協奏的舞曲』は、室内管弦楽のために書かれた特異な音楽作品です。这は、演奏会用に創作されたものですが、バレエとしても演じることができるのが特徴的です。この楽曲は、ストラヴィンスキーの独創的なスタイルと、彼が持つ音楽の多様性を象徴するものとなっています。

作曲の背景

この作品の制作は、ロサンゼルスにおいて新たに設立された交響楽団を率いる指揮者ワーナー・ジャンセンからの委嘱を受けて行われました。ストラヴィンスキーは、慎ましいバレエ曲の形を持つ楽曲を目指し、特にストーリー性を持たない抽象的な作品を創作することにしました。その結果、完成した作品が『協奏的舞曲』と名付けられ、1941年から翌年の初めにかけて作曲が進められました。

初演と評価

『協奏的舞曲』は1942年2月8日にロサンゼルスで初演され、指揮はストラヴィンスキー本人が務めました。この初演では、演奏者の高い技術力が評価され、ストラヴィンスキー自身も満足する結果となりました。その後、1944年6月10日にバレエ・リュス・ド・モンテカルロによってニューヨークで、ジョージ・バランシンの振付とユージン・バーマンの美術によりバレエとして上演されました。更に、1955年にはロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場バレエでもケネス・マクミランの振付で公演され、バレエ団としての知名度を高める一助となりました。

演奏編成

この作品は、合計で24人の奏者によって演奏されます。具体的な編成は、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン2、トランペット、トロンボーン、ティンパニ、そして弦楽器対応のヴァイオリン6、ヴィオラ4、チェロ3、コントラバス2が含まれています。これにより、豊かな音色と多彩な音楽表現が可能となっています。

音楽的構成

『協奏的舞曲』は、約20分の演奏時間をもつ作品で、以下のような構成を持っています：

1. 行進曲（Marche - Introduction）
2. パ・ダクシオン（Pas d'action）
3. 主題と変奏（Thème varié） - 主題と4つの変奏から成る
4. パ・ド・ドゥ（Pas de deux）
5. 行進曲（Marche - Conclusion）

この全体の流れにおいて、ストラヴィンスキー特有のリズムとハーモニーが際立っており、聴き手を魅了します。

音楽的影響

音楽評論家ウォルシュによると、この作品にはチャイコフスキーやドリーブ、シューベルトの『軍隊行進曲』、さらにはバッハなどからの影響が見受けられます。しかし、これらの引用を用いたとしても、曲自体はストラヴィンスキーの独自性が強く、彼のスタイルが色濃く反映されています。さらに、変拍子によるリズムの複雑さが特徴的であり、彼の他の代表作『春の祭典』や『結婚』とは高く異なる部分が存在します。

このように『協奏的舞曲』は、ストラヴィンスキーの音楽的探求と創造力が凝縮された作品であり、聴衆に深い感動を与えるものとなっています。

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