南アフリカ国鉄5M2形電車

南アフリカ国鉄5M2形電車と10M形電車

南アフリカ国鉄の5M2形電車（Class5M2）は、1958年から導入され、南アフリカ旅客鉄道公社により運行されている通勤電車です。この電車は、南アフリカの鉄道史において、戦後初めて製造された電車であり、全鋼製である点でも特筆すべき特性を持っています。1958年から1960年にかけて、イギリスのメトロキャメルによって製造が始まり、その後、南アフリカの鉄道車両メーカーであるユニオン・キャリッジ・アンド・ワゴン（UCW）によって製造が続けられ、1962年には形式名が5M2A形に改称されました。最終的には1985年までに4,447両が製造され、南アフリカの各都市の鉄道網で使用されています。

これらの車両の一部、390両は1997年から2004年にかけてリニューアル工事が行われ、内装や塗装、集電装置が最新のものに改修されています。編成は電動制御車2両を中心に若干の付随車が挟まる形で構成されており、中間車両には片側2扉と片側3扉の二つのバリエーションがあります。

車内は二種類の等級があり、上位の「メトロプラス」では革張りのボックスシート、下位の「メトロ」では樹脂製のロングシートが用意されており、運賃にも差があります。

10M形電車の登場

1999年以降、老朽化が進行した5M2A形電車の台枠を利用して新たに製造されたのが10M形電車です。この車両はコスト削減と新型車両導入までの車両数の維持を目的としています。メトロレールが提示した仕様に基づき、トランスウェルクとUCWによって製造された10M形と10M1形の後、仕様を統一した10M2形が開発されました。

これらの新型車両は、5M2形のデザインを元に構築されていますが、新たに製造された形式ではモジュール構造が採用され、制御方式も変更されています。

• - 10M3形: 西ケープ州の路線で使用される車両で、ステンレス製の車体を特徴としています。
• - 10M4形: ハウテン州の路線に導入され、鋼製の車体を持ち、前面デザインが他の形式とは異なります。
• - 10M5形: ダーバン都市圏内の路線で運用されており、10M3形と類似の車体を有しています。

未来に向けて

2017年時点では、平均経過年数が37年に達しており、古い車両では製造から50年以上が経過するなど、老朽化が顕著となっています。このため、南アフリカ旅客鉄道公社（PRASA）は新型車両の導入を決定し、施設の近代化とともに5M2形電車の置き換えを行う計画を発表しました。実際に、2017年5月9日にはアルストム製の新型電車「エクストラポリス・メガ」が運行を開始し、今後10年間で5M2形電車を新型に置き換える予定となっています。

これにより、南アフリカの通勤交通の利便性と安全性が向上し、利用者からの信頼をより一層高めることが期待されています。

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