メトロキャメル

メトロポリタン・キャメル客貨車会社

メトロポリタン・キャメル客貨車会社（Metropolitan Cammell Carriage and Wagon Company）は、かつてイギリスに存在した鉄道車両メーカーです。その歴史は、19世紀にまで遡り、ロンドン地下鉄の車両をはじめ、数多くの鉄道車両を製造しました。

設立と初期の歴史

メトロポリタン・キャメルの前身は、1837年に設立されたメトロポリタン鉄道車両会社です。この会社は、ジョセフ・ライト＆サンズという客車製造会社を引き継ぐ形で設立されました。当初はロンドンに拠点を置いていましたが、1845年にはバーミンガム郊外のサルトレイに工場を移転し、本格的な鉄道車両製造を開始しました。

合併と変遷

1902年、メトロポリタン鉄道車両会社は他の4社と合併し、メトロポリタン合同客貨車会社となりました。第一次世界大戦中には、戦車製造にも携わり、マークV戦車などを製造しました。その後、1929年にはキャメル・レアードの鉄道車両部門と合併し、メトロポリタン・キャメル客貨車会社となりました。この合併により、メトロポリタン・キャメルは鉄道車両製造だけでなく、バスの車体製造も行うようになりました。

戦時中の活動

第二次世界大戦中には、再び戦車の製造に携わり、バレンタイン歩兵戦車などを製造しました。戦時中も、イギリスの産業を支える重要な役割を果たしました。

事業の終焉

サルトレイの工場は1962年に閉鎖され、1967年には本社機能がウォッシュウッド・ヒースに集約されました。1989年5月には、鉄道事業がGECアルストム（後のアルストム）に売却され、ウォッシュウッド・ヒースの工場も2005年に閉鎖されました。最後の製造車両は、ウェスト・コースト本線近代化計画用の390形電車でした。

製品

メトロポリタン・キャメルは、多岐にわたる鉄道車両を製造しました。以下に主な製品をまとめます。

郊外鉄道向け車両

サザン鉄道「ブライトン・ベル」電車
サザン鉄道「クリスタル・パレス」電車
サザン鉄道「北コールズドン&サットン」電車
LNERタイネサイド電車
LNERシェフィールド線用電車
LNERグロソップ線用電車
ブループルマン
イギリス国鉄101形気動車
イギリス国鉄151形気動車
イギリス国鉄156形気動車
イギリス鉄道175形気動車（コラディア）
イギリス鉄道180形気動車（アデランテ）
イギリス鉄道334形電車
イギリス国鉄373形電車（ユーロスター）
イギリス国鉄503形電車
イギリス国鉄マーク4客車

地下鉄車両

ロンドン地下鉄スタンダード形電車
ロンドン地下鉄1935形電車
ロンドン地下鉄1938形電車
ロンドン地下鉄R形電車
ロンドン地下鉄1959形電車
ロンドン地下鉄1962形電車
ロンドン地下鉄1967形電車
ロンドン地下鉄C69・C77形電車
ロンドン地下鉄1972形電車
ロンドン地下鉄1973形電車
ロンドン地下鉄D78形電車
ロンドン地下鉄1983形電車
ロンドン地下鉄1986形電車
ロンドン地下鉄の蓄電池機関車

その他の地下鉄車両

グラスゴー地下鉄の車両
タイン・アンド・ウィア・メトロ4000形電車

輸出車両

九広鉄路メトロキャメル電車
香港地下鉄メトロキャメル電車
南アフリカ国鉄5M2形電車

メトロポリタン・キャメルは、その長い歴史の中で、数々の鉄道車両を製造し、イギリスの鉄道史に大きな足跡を残しました。特にロンドン地下鉄の車両製造においては、中心的な役割を担いました。

参考文献

Pullen, Richard (2007). The Landships of Lincoln (2nd ed.). Tucann. ISBN 978-1-873257-79-1 
Connor, Piers (1983). The 'R' Stock Story. Hemel Hempstead: London Underground Railway Society. ISBN 0-9508793-0-4 

外部リンク

Metro-Cammell website

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