南アフリカ航空201便墜落事故

1954年4月8日、南アフリカ航空201便は、ロンドン発ヨハネスブルグ行きのフライトで、経由地のローマ・チャンピーノ空港を離陸直後に、イタリア・ストロンボリ島沖で空中爆発し墜落しました。この事故は、世界初の商業ジェット旅客機であるデ・ハビランド コメットの連続墜落事故の一つとして数えられます。

事故機は、英国海外航空からリースされたコメット1型機（機体記号G-ALYY）で、出発前点検で翼上パネルのボルトの緩みと燃料系統のトラブルが見つかり、25時間遅れてローマを離陸。カイロへ向かう途中、高度30,000フィートを巡航中に突然空中分解しました。乗員7名と乗客14名、計21名全員が犠牲となりました。事故発生直後、航空管制官が何度も通信を試みましたが応答はなく、ドイツのラジオ局が事故発生を速報したことで、世界中にこの悲劇が知れ渡りました。

翌日、大規模な捜索活動が行われましたが、回収されたのは機体の残骸と数名の遺体のみでした。墜落現場の水深が1000メートル近くと深く、当時の技術では機体の回収は不可能でした。事故原因は、製造からわずか2年しか経っていない機体で、飛行時間も2704時間、飛行回数も900回程度と比較的少なかったにも関わらず、コメット特有の与圧胴体の金属疲労によるものでした。金属疲労によって発生した亀裂から、与圧空気が一気に噴出し、胴体を引き裂くように空中分解したと考えられています。

この事故の教訓は、同型機である英国海外航空781便の墜落事故調査や、実機を使った実験を通じて明らかになりました。航空機メーカーは、それまで考慮していなかった金属疲労の影響を重視するようになり、その後の航空機設計に大きな影響を与えました。南アフリカ航空201便の墜落は、航空史における安全対策の重要性を再認識させる、悲劇的な出来事となりました。詳細については、コメット連続墜落事故の項目を参照してください。

関連項目

航空事故
金属疲労
英国海外航空783便墜落事故
英国海外航空781便墜落事故

外部リンク

ジェット旅客機コメットの空中分解 - 失敗知識データベース（日本語）
外山智士ホームページ（日本語）
コメットの航空事故一覧（英語）
Marc Schaeffer's Comet Website - ウェイバックマシン（1999年1月17日アーカイブ分）（英語）コメットの歴史、事故についての概略あり

もう一度検索