南アフリカ警察 (1913年-1994年)

南アフリカ警察（SAP）とは

南アフリカ警察（South African Police, SAP）は、1913年から1994年にかけて存在した、南アフリカ連邦（後の南アフリカ共和国）の国家警察です。設立当初は、旧4植民地の警察部隊を統合し、労働組合の監視や法執行活動を行っていました。1939年から1981年までは、南西アフリカ（現在のナミビア）においても警察機能を代行していました。

歴史

設立と初期の活動

1910年に南アフリカ連邦が成立した後、ケープ植民地、ナタール植民地、オレンジ川植民地、トランスヴァール植民地の4つの植民地警察が統合され、1913年4月1日に南アフリカ警察が設立されました。初代警察長官はテオ・G・トロッター大佐で、約5,882人の警察官を率いていました。設立当初は、労働組合の監視や、都市部・農村部での法執行活動が主な任務でした。

第一次世界大戦から1926年までの間、南アフリカ警察は地方民兵隊を解体し、警察権と法執行権を引き継ぎました。1939年には、当時の南アフリカ連邦の統治下にあった南西アフリカの警察を引き継ぎ、同地域の警察責任者となりました。

第二次世界大戦と戦後の活動

警察は緊急事態が発生するたびに軍に支援を要請することが多く、第二次世界大戦中には、SAPの旅団が南アフリカ陸軍の第2歩兵師団に配属され、北アフリカ戦線に参加しました。戦後の1948年1月1日には、国際刑事警察機構（ICPO、インターポール）に加盟しています。

アパルトヘイト時代

1948年に国民党が政権を握ると、警察と軍の関係が強化され、警察は暴徒鎮圧のために重武装化されました。1958年の警察法改正により、警察の権限は拡大され、暴動の鎮圧や体制への抗議者・反対者に対する予防措置を講じることが可能になりました。1965年の警察改正法では、警察は令状なしに国境から1マイル以内の捜索・押収ができるようになり、1979年には8マイル以内、1983年には全国に適用範囲が拡大されました。アパルトヘイト時代には、クレイグ・ウィリアムソンやオリビア・フォーサイスのようなスパイが暗躍しました。

南アフリカ警察は、1981年に南西アフリカに対する警察責任を放棄しました。1986年には、南アフリカ鉄道警察が南西アフリカの警察機能を担うようになりました。

アパルトヘイト時代、南アフリカ警察には、アパルトヘイト体制への反対者を弾圧するための特別支部（Security Branch）が存在しました。特別支部は、盗聴、潜入、拷問、黒人集団に対する過度の武力行使など、非人道的な活動に関与していました。

再編

1994年に南アフリカ共和国が多数決による民主的な体制に移行した後、南アフリカ警察は南アフリカ警察サービス（SAPS）として再編されました。特別支部は犯罪情報部となり、「国家の敵」に対する定義運動の調査を行いました。

アパルトヘイト時代の南アフリカ警察が関わった主な事件

シャープビル虐殺事件
ソウェト蜂起
スティーブ・ビコ殺害事件

関連項目

南アフリカ警察サービス（SAPS）：1994年に再編された、現在の南アフリカ共和国の警察機構。
警察特殊タスクフォース
南西アフリカ警察：南西アフリカの警察機構。ナミビア独立後はナミビア警察として再編。
南西アフリカ警察対不正規戦部隊
南アフリカ防衛軍：1957年～1994年までの南アフリカ軍。1994年に南アフリカ国防軍に再編。
南アフリカ国家保安局
市民協力局

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