南スーダンの行政区画

南スーダンの行政区分

南スーダンの行政区分は、2020年現在、州、行政区域、郡（基礎自治体）、パヤーム、ボーマの4層構造となっています。しかし、その歴史は決して単純ではありません。民族対立や内戦の影響を受け、行政区画は何度も再編されてきました。本稿では、南スーダンの行政区分の現状と、その複雑な変遷の歴史を紐解きます。

行政区分の概要

南スーダンは連邦制国家であり、遊牧民が多く、土地や家畜をめぐる紛争が頻発します。そのため、行政区画は紛争の火種となることも少なくありません。2014年に設置されたピボール行政区は、民族自治区設立を求める武装勢力と政府の和平合意によって誕生しました。また、2013年のクーデター未遂事件後の内戦では、大統領と元副大統領がそれぞれ自身の出身民族を優遇するような行政区画への変更を宣言し、事態をさらに悪化させました。行政区画を巡る問題は、民族対立だけでなく、天然資源や政治的な問題も絡み合い、非常にデリケートな問題となっています。

行政区分の階層と数

現在の州（2020年-）

2020年2月15日、内戦の和平プロセスの一環として、従来の32州は10州と3つの行政区域（2行政区と1特別行政区）に再編されました。これにより、州の数は2011年の独立時とほぼ同じに戻りました。ただし、行政区域の具体的な構成については、関係者の間で意見の相違が見られます。

バハル・アル・ガザール地方
北バハル・アル・ガザール州
西バハル・アル・ガザール州
レイク州
ワラブ州
アビエイ特別行政区（スーダンとの領土問題地域、共同主権）
エクアトリア地方
西エクアトリア州
中央エクアトリア州
東エクアトリア州
上ナイル地方
上ナイル州
ユニティ州
ジョングレイ州
ピボール行政区（ジョングレイ州から分離）
ルウェン行政区（ユニティ州より分離）

過去の行政区分

南スーダンの行政区分は、時代によって大きく変化してきました。

1994年以前
詳細は不明
1994年-2015年
1994年2月14日、行政区画再編により10州と86地区が設置。
2005年、南スーダン自治政府が発足し、南部10州がその管轄下に。
2011年、南スーダン共和国独立に伴い、南部10州がスーダンから分離。
2015年-2020年
2015年10月、キール大統領が行政区画を10州から28州に再編。
* 2017年1月14日、キール大統領が28州を32州へ増やす大統領令を発表。

行政区画再編の背景と問題点

キール大統領による2015年と2017年の行政区画再編は、野党や反政府勢力から強い反発を受けました。彼らは、大統領令による行政区画の変更は憲法違反であると主張し、和平協定の履行を妨げるものであると批判しました。また、一部では、この再編がキール大統領の出身民族であるディンカ族を優遇するための恣意的な分割であるとの指摘もなされています。

下位行政区画

州の下には、郡および郡と同格の基礎自治体が存在します。2008年の国勢調査では78郡でしたが、その後増加しました。しかし、2020年の州再編に伴い、郡の数も独立当初に戻されることになりました。郡の下にはパヤーム、最下層にはボーマが設置されています。

反政府勢力による独自の行政区分

リエック・マチャル率いる反政府勢力SPLM-IOは、2014年12月に州を21に再編することを宣言し、独自の「州知事」を任命しました。これらの行政区分は、南スーダン政府によって承認されていません。

今後の展望

南スーダンの行政区分は、依然として不安定な状況にあります。政府と反政府勢力の間の和平プロセスが円滑に進み、国民が納得できる形で行政区画が安定することが望まれます。

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