南三陸 (列車)

快速「南三陸」について

「南三陸」は、かつて東日本旅客鉄道（JR東日本）が運行していた快速列車で、仙台駅と気仙沼駅の間を、東北本線、石巻線、気仙沼線を経由して結んでいました。この列車は、仙台と気仙沼地域を直接結ぶ唯一の定期列車として、地域間の移動を支える重要な役割を果たしていました。

概要

「南三陸」は、指定席も設定されており、地域の輸送ニーズに応える列車でした。しかし、2011年の東日本大震災によって運行区間の大部分が不通となり、運行を休止せざるを得なくなりました。その後、気仙沼線の柳津駅以北がバス高速輸送システム（BRT）に転換されたため、従来の路線での直通運転は不可能となり、列車としての「南三陸」は姿を消しました。

運行状況

「南三陸」は、1日に2往復（1号～4号）が運行されていました。1号と4号は平日には全車自由席、土曜日・休日には指定席車が連結されていました。2号と3号は、常に指定席車が連結されていました。

お盆や年末年始などの多客期には、「南三陸81号・82号」という増発列車も運行されていました。

停車駅

「南三陸」の主な停車駅は以下の通りです。

仙台駅
小牛田駅
涌谷駅
前谷地駅
陸前豊里駅
柳津駅
志津川駅
歌津駅
本吉駅
南気仙沼駅
気仙沼駅

2001年11月30日までは、盛駅を発着する列車も存在し、大船渡線内では以下の停車パターンがありました。

南三陸3号: 気仙沼駅～盛駅間各駅停車
南三陸2号: 盛駅→大船渡駅→細浦駅→小友駅→陸前高田駅→鹿折唐桑駅→気仙沼駅

また、かつては1号と4号は東北本線内で、塩釜駅、松島駅、鹿島台駅にも停車していました。

使用車両

「南三陸」には、様々な車両が使用されてきました。

南三陸2・3号：主に小牛田運輸区所属のキハ110形気動車4両編成が使用されました。1～3号車は自由席（セミクロスシート）、4号車は指定席（リクライニングシート）でした。
南三陸1・4号：小牛田運輸区所属のキハ110型気動車が使用されました。平日は3両編成、土休日は4両編成で、気仙沼寄りの1両にリクライニングシート車が連結されていました。その他の自由席車両はセミクロスシート車で、稀に陸羽東線・陸羽西線用の200番台が連結されることもありました。4号は小牛田駅で増結され、仙台駅までは5両編成で運行されることもありました。
南三陸81・82号：小牛田運輸区所属のキハ40・48形気動車2両編成が使用され、全車自由席でした。

過去には、キハ52形、キハ23形、キハ28形、キハ58形などの車両も使用されていました。

沿革

1986年11月1日：仙台駅～気仙沼駅間の無名の快速列車が2往復設定されました。
1988年3月13日：快速「南三陸」として運転を開始しました。
1990年3月10日：南三陸2・3号が大船渡線盛駅まで乗り入れを開始しました。
1992年3月14日：冷房付き車両を導入、原則としてキハ58形を限定運用しました。
1993年12月1日：南三陸2・3号に指定席車両が連結されるようになりました。
1998年3月14日：南三陸2・3号の指定席車両の連結方向を変更し、盛駅まで指定席利用が可能になりました。
1999年12月4日:南三陸3号の土曜・休日における指定席車両を2両に増結。快速「いでゆ」のキハ110系化に伴い「南三陸2・3号」と「いでゆ」の共通運用廃止。
2001年12月1日：南三陸2・3号の気仙沼駅～盛駅間の運行が廃止されました。
2007年3月18日：南三陸1・4号がキハ110系に置き換えられました。
2007年7月1日：南三陸2・3号もキハ110系に置き換えられました。
2008年3月15日：ダイヤ改正により所要時間が短縮されました。
2011年3月11日：東日本大震災により運行を休止しました。
* 2011年8月25日：時刻表から「南三陸」の記述が削除されました。

関連商品

「Wきっぷ」という企画回数乗車券が発売されていました。これは、盛～気仙沼～仙台間を往復できる乗車券で、東北線、石巻線、気仙沼線、大船渡線を経由していました。仙台～古川間では、別途特急券を購入することで東北新幹線も利用可能でした。

このきっぷは、東日本大震災に伴い販売を一時休止していましたが、BRTの運行開始に伴い販売を再開しました。

まとめ

「南三陸」は、地域の人々の生活を支える重要な足として活躍していましたが、東日本大震災によりその役割を終えることとなりました。しかし、その存在は、今もなお多くの人々の記憶に残っています。

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