南太田 (横浜市)

南太田（みなみおおた）

南太田は、神奈川県横浜市南区に位置する地名です。住居表示実施以前は南太田町と呼ばれていました。この記事では、現在の南太田（一丁目から四丁目）を中心に、その前身である太田村からの歴史、地理的特徴、そして現代の姿を詳しく解説します。

地理

南太田は、南区の北部に位置し、清水ヶ丘と呼ばれる高台と大岡川に挟まれた区域です。かつての南太田町は、現在の中区や西区の一部を含む広範囲でしたが、1935年の横浜市市区改正により、現在の範囲に縮小されました。

地域内には京急本線が走り、平戸桜木道路（県道218号）が並行しています。環状1号線が南太田四丁目と永田東一丁目の境界を成し、井土ヶ谷切通しを経由して保土ヶ谷区方面へのアクセスも可能です。

平戸桜木道路沿いには商店や事務所が多く、南太田駅周辺には商店街が形成されています。また、横浜市立横浜商業高等学校や横浜市立南太田小学校、神奈川県立横浜清陵総合高等学校といった教育機関も立地し、文教地区としての側面も持っています。しかし、台地末端の急傾斜地を含め、ほぼ全域が宅地化されています。

主な河川は大岡川が地域を流れています。

2023年1月1日時点の公示地価によれば、住宅地の地価は南太田3-7-12の地点で28万7000円/m2となっています。

歴史

南太田の大部分は、江戸時代の武蔵国久良岐郡太田村の一部でした。太田村は大岡川の河口に面し、台地末端の崖下に集落が点在し、谷戸を水田として利用する農村でした。江戸時代初期には、大岡川河口の埋め立てによる新田開発で吉田新田が成立しました。

太田村は江戸時代を通じて幕府直轄領でしたが、1859年の横浜港開港に伴い、太田村の野毛山南麓に太田陣屋が設けられました。陣屋内には歩兵・騎兵伝習所や文学所が設置され、人材育成の地となりました。横浜の市街地拡大とともに、黄金町、日ノ出町などが太田村から分離し、新たな町が形成されました。

1889年の町村制施行により、太田村は戸部町、吉田新田などと合併して戸太村となり、その大字太田となりました。戸太村は1895年に町制を施行して戸太町となりましたが、1901年に横浜市に編入される際、既存の太田町との区別のために南太田町と改称されました。

横浜市編入後、1928年と1935年の市区改正で多くの町が分離し、南太田町は太田村のごく一部を占めるようになりました。1935年の市区改正では、南太田町は字1丁目から字4丁目に区分されました。

太平洋戦争中の1945年には、アメリカ軍のB-29爆撃機が南太田町に墜落し、多くの犠牲者を出す悲劇も経験しました。

1995年の住居表示実施により、南太田一丁目から南太田四丁目が設置され、南太田町としての名称は消滅しました。

沿革

江戸時代：武蔵国久良岐郡太田村（幕府直轄領）
1859年：太田陣屋設置
1869年：黄金町が起立
1889年：戸太村大字太田となる
1895年：戸太町となる
1901年：横浜市に編入、南太田町に改称
1995年：住居表示実施、南太田一丁目から四丁目となる

世帯数と人口

2023年4月30日現在の世帯数と人口は横浜市が発表しているデータをご参照ください。

学区

南太田の学区については、横浜市の公式サイトでご確認ください（2021年8月時点の情報）。

経済

かつて南太田には、多く地主がいました。

交通

鉄道：京浜急行電鉄本線 - 南太田駅
道路：平戸桜木道路（神奈川県道218号）、環状1号（横浜市主要地方道84号）

施設

公共施設：南警察署 南太田交番、横浜南太田郵便局
教育機関：横浜市立南太田小学校、横浜市立横浜商業高等学校
寺社：常照寺、大光寺、妙法寺、杉山神社
公園：南太田四丁目公園

出身・ゆかりのある人物

南太田には、多くの著名人がいました。詳しくは本文書に記載されているリストをご参照ください。

その他

郵便番号：232-0006
警察管轄：南警察署

参考文献

『全国五十万円以上資産家表 時事新報社第三回調査』時事新報社、1916年。
人事興信所編『人事興信録 第6版』人事興信所、1921年。
『昭和人名辞典』光人社、1933年。
交詢社編『日本紳士録 第37版附録 多額納税者名簿』交詢社、1933年。
交詢社編『日本紳士録 第38版』交詢社、1934年。
* 横浜市市民局 (2016年6月). “横浜市町区域要覧” (PDF).

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