南斗六星

南斗六星とは

南斗六星（なんとろくせい）は、いて座の上半身、特に弓の一部を形成する、ひときわ明るい6つの星々の集まりです。天球上での位置関係から、北斗七星と対比して名付けられました。重要な点として、ここで言う「南北」は地平線から見える方角ではなく、天球上の位置を示しています。また、南斗六星は二十八宿における斗宿の別名としても知られています。

各地の呼び名

日本の一部地域では、南斗六星を構成する星のうち、ζ（ゼータ）星、τ（タウ）星、σ（シグマ）星、φ（ファイ）星の4つの星を特に「箕星（みぼし）」と呼ぶことがあります。

英語圏では、北斗七星が柄杓（ひしゃく）の形に見立てられ「ビッグ・ディッパー」と呼ばれるのに対し、南斗六星も同様にひしゃくに見えることから「ミルク・ディッパー（Milk Dipper）」と呼ばれています。さらに、γ（ガンマ）星、δ（デルタ）星、ε（エプシロン）星、η（イータ）星の4つの星からなる箕宿と合わせて「ティーポット (Teapot)」と呼ぶこともありますが、この呼び方は日本ではあまり一般的ではありません。

南斗六星を構成する星々

南斗六星は、升（ます）型を形成する部分から柄（え）の部分にかけて、以下の星々で構成されています。バイエル符号は通常、星座内の星の明るさ順に付けられますが、いて座においては必ずしもその法則に従っていません。

中国における位置づけ

中国の兵法書である『武備志』の99巻から100巻にかけての「旌旗」には、二十八宿にちなんだ軍旗の図と将軍名が記されています。それによると、南斗六星は「斗木豸（ともくち）」とされ、「主將歐喙希節」という将軍が割り当てられています。

道教における位置づけ

道教の思想では、北斗七星と南斗六星はそれぞれ死と生を司る存在として神格化されています。北斗星君は白い服を着た醜い老人として描かれることが多い一方、南斗星君は赤い服を着た同様の姿の老人として描かれることもあれば、若く美しい男性として描かれることもあります。

このように、南斗六星は天文学的な意味合いだけでなく、文化や思想においても重要な役割を果たしてきた星々の集まりです。

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