南日本文学賞

南日本文学賞は、1973年に創設された地方文学賞の一つで、南日本新聞社によって主催されています。この賞は、鹿児島県および宮崎県に在住、または出身者など、地域にゆかりのある作家による作品を対象としており、小説、評論、詩といった幅広いジャンルから最も優れた作品を選出、顕彰しています。

賞の特色として、5年に一度「南日本文学大賞」が設けられる点が挙げられます。大賞受賞者には、賞金100万円が贈呈され、作家活動を支援する役割も担っています。

過去の受賞者の中には、その後の文学界で目覚ましい活躍を見せる作家も少なくありません。例えば、第3回受賞者の島尾ミホは、後に第15回田村俊子賞を受賞しています。また、第10回受賞者の進一男は、山之口貘賞を受賞。第25回受賞者の出水沢藍子は、第19回大阪女性文芸賞で佳作に選ばれました。さらに、第35回受賞者の三角みづ紀は、第22回萩原朔太郎賞を受賞し、第36回受賞者の野見山潔子は、第46回九州芸術祭文学賞最優秀作を受賞するなど、南日本文学賞は、新進気鋭の作家を発掘し、その才能を世に送り出す登竜門としての役割も果たしています。

選考委員は、時代によって変遷しており、第41回から第44回までは、佐々木幹郎、笹本稜平、又吉栄喜が務めました。第45回から第50回までは、又吉栄喜、町田康、三角みづ紀が選考を担当。第51回以降は、青来有一、町田康、三角みづ紀が選考委員を務めています。著名な作家や評論家が選考に携わることで、賞の権威と信頼性を高めています。

南日本文学賞は、地方文学賞として、地域文化の振興に貢献するとともに、新たな才能の発掘と育成を通じて、日本の文学界全体の発展に寄与していると言えるでしょう。地域に根ざした文学賞でありながら、その影響は全国に及んでおり、今後も多くの優れた作家を輩出することが期待されます。

[参考資料]
南日本新聞

[関連項目]
地方文学賞

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