南昌作戦

南昌作戦

南昌作戦（なんしょうさくせん）は、日中戦争において、中華民国の中国軍と大日本帝国の日本軍が江西省南昌市を舞台に行った大規模な戦闘です。この戦いは、武漢作戦の終結後に展開された初めての大規模戦闘であり、別名を南昌会戦とも呼ばれています。

背景

武漢作戦では、中国軍は日本軍に敗退し、漢口を失いました。しかし、日中戦争が直ちに終わることはなく、中国は重慶に移動した政府を中心に徹底抗戦の姿勢を貫いていました。同時に日本も戦争の長期化を認識し、占領地の拡大方針を修正して、獲得した領土の治安維持に力を入れることにしました。その中で日本は、南昌への侵攻作戦を行うこととなりました。

南昌は、鉄道網において重要な拠点であり、特に浙贛線の存在が注目されます。この鉄道路線は第三戦区と第九戦区を結ぶ重要な補給線でした。また、南昌には長江を巡る空の移動を制約する飛行場も存在していました。したがって、日本軍の南昌への侵攻は、まずこれらのインフラを確保することを目指していました。

作戦前哨

1938年7月、日本が武漢を攻撃している際、同時に南昌へも迫ろうとしていましたが、中国軍は修水に強固な陣地を築き、日本軍の進撃を阻止しました。この後、両軍は一時的に膠着状態に陥りました。

戦闘の開始

1939年春、日本軍は南昌攻略のために増強部隊の侵攻を開始しました。3月20日、岡村寧次司令官の指示のもと、日本軍の砲兵部隊が修水の中国軍陣地を激しく攻撃しました。この攻撃は200門以上の重砲によるもので、当時の日本軍では最大規模のものでした。

また、日本軍は攻撃に化学兵器も使用しました。一万発を超えるガス弾が準備され、その多くが使用されたとされています。続いて、日本軍は修水を渡河し、その後も迅速な攻撃を続け、3月26日には南昌市の西門にまで到達しました。中国軍の援軍を撃退した日本軍は、南昌を包囲攻撃し、意義ある勝利を収め、その翌日に南昌市は陥落しました。

中国軍の反撃と撤退

南昌を失った中国軍は、江西省での抵抗を続けました。日本軍が一部を他の地域へ移動させたことを好機と捉え、中国国民党は南昌を奪還すべく反撃を計画しました。4月21日、中国軍は南昌の北、西、南から奇襲を行いました。南昌の南部では国民党軍が迅速に日本軍の防備を突破し、数日間の攻防の結果、南昌市の郊外まで進軍しました。

しかし、日本軍は修水を保持し続け、そこからの補給に頼りながら反撃に出ました。大砲と航空支援を受けた日本軍は徐々に防衛線を取り戻し、中国軍は混乱の中で5月9日に撤退を余儀なくされました。

戦闘の影響

この南昌作戦の結果、死傷者は中国側で51,328人、日本側で24,000人に及んだと報告されています。南昌の陥落後、日本側は江西省と湖南省における支配を一層強化しましたが、中国国民党は未だにその地域での存在感を維持しました。また、この戦闘は日本側の勢いを一時的に支えたものの、後のソビエトとの衝突やノモンハン事件によって、その momentum は衰えることとなります。

美術

戦争を題材にした作品の一例として、藤田嗣治による『南昌飛行場の焼打』（1938年-1939年）があります。

このように、南昌作戦は日中戦争における重要な局面であり、長期にわたる戦争の激化を象徴する出来事となりました。

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