南沢十七

南沢 十七（みなみざわ じゅうしち）

南沢十七は、1905年3月10日に生まれ、1982年9月26日に亡くなった日本の作家です。彼は特に探偵小説や科学小説で知られ、翻訳家としても一定の評価を受けました。本名は川端男勇（かわばた まさお）であり、ペンネームの「十七」は、17歳の時に父を失ったことに由来しています。彼の代表作には『緑人の魔都』があり、当作品はヒロイック・ファンタジーの要素を含んだ斬新なものとして話題を呼びました。

経歴

南沢は宮城県仙台市で生まれました。彼が数歳の時に満州に渡ったとの説もあり、その後、国立長崎医科大学薬学部を卒業した後、東京外語学校（現・東京外国語大学）に進学し、ドイツ語を学びました。学生時代には後に著名なユーモア作家となる玉川一郎と同期でした。卒業後は衛生試験所に勤務した後、伝染病研究所に移るなど専門分野でのキャリアを積みました。

更に、彼がアルバイトで執筆した記事が評価され、報知新聞社に転職します。この頃、叔父である米田祐太郎からの勧めもあり、『新青年』や『少年倶楽部』などの雑誌に小説を執筆し始めました。また『新青年』編集部にも頻繁に出入りし、彼は木々高太郎への推薦を行うなど、小説界でも積極的に活動していました。

1960年代に入ると、作品発表は激減し、以降はほとんど表舞台から姿を消すことになります。最終的には1982年に脳出血により亡くなるまで、彼は77年の生涯を送りました。

評価

南沢の作品は、同時期に活躍していた海野十三の影響を受け、しばしば亜流として評価されました。特に1948年に発表された『緑人の魔都』は、その新鮮な視点と、突飛な展開が後年注目され、様々な研究や評論に取り上げられました。具体的には、横田順彌や會津信吾がこの作品を復刻し、日本トンデモ本大賞の特別賞を受賞するなど、いくつかの評価が得られています。

主な著作

南沢は多くの著作を残しました。代表的な作品に以下のようなものがあります。

• - 『金星の大ターザン』 (1950年)
• - 『緑人の魔都』 (1948年)
• - 『怪人魔境』 (1947年)
• - 『新奇巌城』 (1946年)
• - 『湖底の魔城 科学冒険』 (1948年)

また、彼は本名で翻訳や非フィクションの執筆も行っており、著名な科学者の伝記を取り扱った作品や薬学関連の書籍も多く発表しています。

まとめ

南沢十七の作品は、探偵小説やSFの領域で、ユニークな視点を提供しました。彼の人生や業績は、日本の文学史において重要な位置を占めており、今日でも新たな発見や再評価が進められています。彼の別名義での活動や翻訳も含め、幅広い知識と才能を持っていたことが伺えます。

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