南能衛

南能衛（みなみ よしえ）

南能衛（1881年 - 1952年）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の音楽教育者・作曲家です。彼は、特に『横浜市歌』の作曲者として広く知られています。

人物・来歴

南能衛は、東京音楽学校（現在の東京藝術大学）を卒業後、徳島師範学校や和歌山師範学校で教鞭を執りました。和歌山師範学校では、男女共学の合唱指導を初めて行ったことが評価され、1908年に東京音楽学校の助教授に就任しました。同時に、小学校唱歌編集委員や楽語調査委員にも任命され、音楽教育の分野で重要な役割を果たしました。

1910年には、中学校唱歌集の編集委員も務めました。その後、東京音楽学校を辞職し、1912年に兵庫県龍野市の東洋楽器製造でオルガンなどの楽器製造に携わりました。後に台湾に渡り、台南師範学校の教諭として音楽教育に尽力しました。戦時中も広島で教職に就き、音楽を教え続けました。

彼の作曲作品としては、『村祭』が特に有名ですが、『村の鍛冶屋』も南能衛の作曲であるという説があります。

年表

1881年：徳島県に生まれる
1891年：徳島市富田尋常小学校全科卒業
1895年：徳島高等小学校卒業
1897年：徳島渭南法令学校修身法令科修了
1898年：徳島県師範学校簡易科入学
1901年：徳島県師範学校卒業。徳島県徳島市富田尋常小学校訓導に任命。東京音楽学校甲種師範科入学
1904年：東京音楽学校卒業。徳島県立徳島中学校教諭
1905年：和歌山県師範学校教諭
1908年：東京音楽学校助教授、唱歌編纂員、楽譜調査員
1909年：横浜市歌の作曲を依頼される
1912年：東京音楽学校を辞職し、東洋楽器製造へ
1918年：台湾総督府台南師範学校嘱託
1926年：台湾総督府台南師範学校助教授を辞任
1952年：死去

主な作品

唱歌

村祭
村の鍛冶屋

市歌

横浜市歌（作詞：森林太郎（森鴎外））

校歌

茨城県立水海道第一高等学校・附属中学校（作詞：吉丸一昌）
東京都立立川高等学校（作詞：前田恒樹）
赤穂市立坂越小学校（兵庫県）（作詞：義原敬爽）
太子町立斑鳩小学校（兵庫県）（作詞：野崎茂太郎）
田辺市立三里小学校（和歌山県）（作詞：野下純三）
千代田区立小川小学校（東京都）（作詞：吉丸一昌）

南能衛は、音楽教育者として多くの人材を育成し、作曲家としても数々の名曲を残しました。彼の功績は、日本の音楽史において重要な位置を占めています。

関連書籍

南次郎『どんどんひゃらら: 南能衛と小学唱歌の作曲家たち』近代消防社　2014

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