南華寺

南華寺（なんかじ）

南華寺は、中華人民共和国広東省韶関市曲江区馬壩鎮に位置する由緒ある仏教寺院です。禅宗の祖である六祖慧能が深く関わった寺として、中国仏教史上重要な位置を占めています。

歴史

南華寺の歴史は、南朝梁の天監元年（502年）に、天竺（インド）出身の智薬三蔵が曹渓からこの地に来て道場を建立し、禅宗を広めたことに始まります。当初は宝林寺と称されました。天監3年（504年）に寺院が完成しましたが、隋末の戦火で焼失してしまいます。

唐代に入り、儀鳳2年（677年）に六祖慧能によって再興されました。神龍元年（705年）には「中興寺」と改称され、景龍2年（708年）には中宗皇帝より「法泉寺」の額を賜りました。しかし、南漢末期の戦火で再び焼失。

北宋の開宝元年（968年）、太祖皇帝の命により寺院は修復され、「南華禅寺」と名付けられました。その後も元末に戦火で焼失するなど、幾多の困難に見舞われます。

明代には、万暦28年（1600年）に憨山徳清によって再興されましたが、明末には長年の手入れ不足から荒廃が進みました。清代に入り、康熙7年（1688年）に平南王尚可喜が伽藍を整備し、1934年には虚雲によって寺院が重修されました。

1962年に広東省の保護単位となり、2001年には全国重点文物保護単位に指定されています。1983年には、中華人民共和国国務院により漢族地区仏教全国重点寺院に認定されました。

伽藍（がらん）

南華寺の伽藍は、以下の主要な建物で構成されています。

山門
宝林門
天王殿
鐘楼
鼓楼
大雄宝殿
観音殿
蔵経閣
五百羅漢殿
放生池

宝林門は明の嘉靖13年（1534年）に建立され、鐘楼・鼓楼は元の大徳5年（1301年）に建立されました。天王殿は明の成化10年（1474年）に建立され、内部には弥勒仏、韋駄天、四天王の巨大な像が安置されています。

特に注目されるのは五百羅漢殿で、内部には木彫りの五百羅漢像が360体安置されています。これらの羅漢像は生き生きとした表情で造形され、金色に輝いています。中国に現存する唯一の宋代木彫り五百羅漢群像として非常に貴重ですが、現在、360体のうち133体は清代に補刻されたものです。

重要文化財

南華寺には、以下の貴重な文化財が所蔵されています。

六祖慧能の肉身（ミイラ）
六祖慧能の千仏袈裟
武則天の聖旨
宋代の五百羅漢の木彫
明代の四天王の木彫
明代の『華厳経』
* 清代の五百羅漢の瓷瓶

これらの文化財は、南華寺の歴史と文化的重要性を物語る貴重な証です。

南華寺は、禅宗の歴史を語る上で欠かせない寺院であり、多くの文化財を有する中国仏教の重要な聖地の一つです。

もう一度検索