南街会館

南街会館：大阪ミナミの映画文化を彩った歴史

南街会館は、かつて大阪市中央区難波に存在した、東宝系の映画館でした。南海難波駅の向かいという絶好のロケーションに位置し、多くの映画ファンに愛されていました。

多彩な劇場構成

南街会館は、複数の劇場で構成されており、それぞれが異なる特色を持っていました。

南街劇場 (816席)：日劇1系に属し、当時としては大阪最大の規模を誇るシネマスコープ対応の劇場でした。
南街東宝 (417席)：主に東宝邦画（日劇2系）を上映していました。
南街シネマ (452席)：日劇3系の作品を上映していました。
南街スカラ座 (567席)：日比谷スカラ座系の作品を上映していました。
南街文化劇場 (232席)：ニュー東宝シネマ（現・TOHOシネマズ有楽座）系の作品を上映し、末期には有楽町スバル座やシャンテ シネの作品も上映していました。

※上記座席数は閉館時のものです。

開館から閉館までの歴史

1938年1月、東宝はミナミ地区における興行拠点として南街映画劇場を建設しました。当時、ミナミの興行街は松竹が道頓堀、千日土地建物が千日前を拠点としており、東宝は新興勢力として梅田を拠点としていたため、ミナミでの劇場建設は悲願でした。

1953年12月18日には、南街会館が落成しました。南街劇場は、宝塚歌劇の上演や洋画上映、なんば東宝は東宝封切館として運営を開始。南街劇場は1,488席の大劇場で、梅田の北野劇場、道頓堀の大阪[[松竹座]]と並び、大阪を代表する洋画の殿堂として知られました。1954年には南街文化劇場（後の南街スカラ座）、1955年には南街ミュージックホールが開場しました。南街ミュージックホールは、トップレスの女性ダンサーによるレビューとコントを上演し、日劇ミュージックホールの南街版としてエロチシズムを提供しましたが、土地柄か人気が出ず、1958年に閉鎖、南街シネマに改装されました。南街シネマは1959年から、毎日放送の公開コメディ番組の収録会場としても使用されました。

1966年には、南街文化劇場がATGの上映館として開場。1983年には、南街劇場の1階席と2階席を分割し、1階を南街劇場、2階を南街東宝（なんば東宝から改称）としてリニューアルしました。これにより、5スクリーン体制が確立しました。

その後も、『ゴジラ』、『スター・ウォーズ』、『ドラえもん』などのシリーズ作品や、『タイタニック』、『千と千尋の神隠し』など、数々の大ヒット作品を上映し、多くの観客を動員しました。末期には5館をまとめて「南街シネプレックス」と称していましたが、建物の老朽化が進み、2004年2月1日、南街劇場で上映された『七人の侍』を最後に、50年の歴史に幕を閉じました。オープン以来、50年間の総動員数は8,300万人、年間最高記録は1959年の295万人を記録しました。

閉鎖後、会館は解体され、跡地には「なんばマルイ」が建設され、8階から11階には後継館であるTOHOシネマズなんば・本館（開業当初は単にTOHOシネマズなんば）が開館しました。

映画興行発祥の地

南街会館の前史として、同地には1888年に歌舞練場として南地演舞場が建設されました。1897年2月15日には、フランスのリュミエール兄弟製作によるシネマトグラフが上映され、これが日本で初めて入場料を徴収した映画興行となりました。この出来事から、南地演舞場跡地の南街会館が映画興行発祥の地とされています。この歴史に感銘を受けた東宝の創業者、小林一三は記念碑を建立しました。その碑は、現在のTOHOシネマズなんばの1階、TOHOシネマズ直通エレベーターの右側の壁に埋め込まれています。

関連項目

千日前

出典

* 劇場街「なんば〜戎橋筋〜道頓堀」の魅力｜大阪ミナミの戎橋商店街 - TOHOシネマズなんばが紹介されています。

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