南部信真

南部信真

南部信真（なんぶ のぶまさ）は、江戸時代中期から後期にかけての大名であり、陸奥国八戸藩の第8代藩主を務めました。通称は主水、左衛門尉。官位は従五位下・左衛門尉。

生涯

安永7年（1778年）に第6代藩主・南部信依の三男として江戸で生まれました。母は鈴木幸右衛門の娘・織瀬。幼名は安吉。

寛政7年（1795年）に実兄・信房の養子となり、同年11月には11代将軍・徳川家斉に御目見しました。寛政8年（1796年）に信房の隠居により家督を継ぎ、同年12月には従五位下・左衛門尉に叙任されました。

藩政においては野村軍記を登用し、藩の財政改革に取り組みました。天保9年（1838年）には城主格に昇格しています。長男の信経、次男の信一が相次いで夭折したため、信順を養子に迎えました。天保13年（1842年）に隠居し、養子の信順に家督を譲りました。

その他、四男・忠文、五男・真勝、娘（市橋長富正室）、娘（植村家貴正室）、鶴姫（南部信順正室）がいます。弘化3年（1846年）に67歳で亡くなりました。

治世

信真は野村軍記を「御主法替主任」に任じ、歴代藩主の中でも徹底した藩政改革を行いました。当初は八戸藩の産物であった大豆を藩が強制的に買い上げる一方で、年貢を厳しく取り立てる方策を取りました。さらに領内産物の藩による独占を企図し、領内産物の取引額で随一であった七崎屋に対して、使用人が藩の封印を破ったことを口実に取り潰すなどの強硬策に出ました。

藩財政は一時的に好転を見せましたが、こうした強権的な政策は領民の反発を招く結果となりました。天保の大飢饉をきっかけとして天保5年（1834年）に発生した久慈・軽米通 稗三合一揆によって、野村軍記が責任を負う形で失脚しました。

系譜

父母
南部信依（実父）
織瀬 ー 鈴木幸右衛門の娘、側室（実母）
南部信房（養父）
正室
大久保忠顕の娘
側室
貴子
菊
子女
南部信経（長男）
南部信一（次男）
南部忠文（四男）
南部真勝（五男）
鶴姫（八女） ー 南部信順の正室、生母は菊
市橋長富正室
植村家貴正室
養子
南部信順 ー 島津重豪の十四男

参考文献

『八戸市史 通史編』八戸市、1976年
* 『八戸南部史稿』八戸市、1999年

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