南部利幹

南部 利幹（なんぶ としもと）

南部利幹は、江戸時代中期の大名であり、陸奥国盛岡藩の第6代藩主として知られています。彼は、従五位下・信濃守、大膳亮という官位を持ち、歴史の中で重要な役割を果たしました。

略歴

利幹は元禄2年（1689年）に、盛岡藩の第4代藩主である南部行信の四男として誕生しました。彼は家族の意向を受けて、初めは三戸氏を名乗っていましたが、宝永3年（1706年）、兄である信恩の死去に伴い、末期養子として家督を継承することになりました。また、同年には5代将軍・徳川綱吉に御目見えし、その年の最後には、従五位下・信濃守に叙任されています。これにより、彼は一層公的な地位を確立することとなりました。

利幹の治世初期には、荒廃していた白山神社の再興に取り組みました。彼は宝永5年（1708年）に本殿を勧請し、その結果、県指定有形文化財として認められることとなりました。これは、彼の藩に対する貢献の一環であり、地域振興にも寄与したと言えます。

しかし、盛岡藩は当時、財政的な困難に直面していました。銅の減産に伴い、藩の財政が逼迫し、江戸への借財が10万両を超えるほどにまで膨れ上がってしまいました。この状況は、藩の参勤交代費用にも影響を及ぼし、管理の難しさを増しました。

このような財政難を受けて、享保8年（1723年）には、家老や役人の更迭を行い、効率を向上させるために諸役人を減らす倹約政策が提唱されました。この政策は一定の効果を上げましたが、同時に彼の強硬な手法に対する家臣たちの不満も招くことになりました。利幹のもとでの改革は、時に彼の権威をも脅かす要因となったのです。

享保10年（1725年）に利幹は亡くなり、その後を養子の利視が継ぎました。南部利幹の次男である南部信起は家格寄合席の旗本となり、彼の lineage はその後も続いていきました。

系譜

利幹の家族構成もまた、彼の歴史を理解するうえで重要です。彼の父は南部行信で、母は心光院、すなわち岩間政次の娘です。また、養父は南部信恩です。利幹の配偶者には正室として春姫が存在し、彼女は蜂須賀隆長の養女であり、蜂須賀隆重の七女でもあります。利幹には側室もおり、その中の一人は貞林院で橋本氏に由来します。

彼には息子が二人おり、長男の南部利雄は1724年から1780年までの生涯を送りました。また、次男である南部信起は彦九郎と呼ばれています。信起の娘は観光院として知られ、南部利正の正室となりました。さらに南部信喜もまた、南部信鄰の生母としてお名前が残っています。

このように、南部利幹は家族、治世、そしてその影響を通じて江戸時代の歴史に名を刻んだ重要な人物です。

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