南部利英

南部 利英の生涯と業績

南部利英（なんぶ としひで、1907年9月19日 - 1980年12月15日）は、南部家の第44代当主で、現在の南部利文の祖父として知られています。彼は伯爵として貴族院の議員も務めた後陽成天皇の九世子孫に該当します。利英の人生は、彼の家系だけでなく、岩手県や日本の歴史にも大きく関わるものでした。

生い立ちと家族

利英は、1907年に公爵一条実輝の三男として誕生しました。初名は一條實英だったが、1910年に南部家当主南部利淳の長女瑞子と結婚する際に養嗣子となり、南部家の名を継ぐ際に利英と改名しました。1930年には養父である利淳が急逝し、南部家の第44代当主となります。利英と瑞子の間には三男四女が生まれ、後に第45代当主となる南部利昭もその三男の一人です。

学業と公職

1931年に東京帝国大学法学部を卒業後、利英は内閣調査局や企画院、技術院で数々の公職を歴任しました。これにより、彼は日本の政治や経済に関与し、その名を広めることになります。昭和初期から太平洋戦争前にかけて、岩手出身の軍人や政治家たちと共に活動することが多く、特に1938年の祝賀会においてはその影響力を象徴する場面がありました。利英は陸軍大臣の板垣征四郎と海軍大臣の米内光政を囲む形で写真に収まり、「陸相と海相を同時に座らせて写真を撮れるのは天皇陛下と私だけだ」と語ったと言われています。

戦後の生活

戦局が悪化した太平洋戦争の最中、利英は自邸を売却し、1943年には職を辞して盛岡に疎開しました。終戦後、彼は財産の一部や農地を失い、さらには貴族制度廃止により議員職も失うことになります。しかし、その後も実業家として南部恒産を設立し地域社会で多くの名誉職を務めました。

昭和天皇との交流

1947年、昭和天皇が戦後巡幸を行う際、利英は恩賜財団同胞援護会岩手県支部長として天皇に拝謁します。この際に、天皇からお礼の言葉を受ける場面も見られ、彼の公務への関与が強調されます。

晩年と死

1980年、息子の利久が亡くなると、次男利博が他家の養子になってしまい、利英は三男の利昭に南部家を託しました。妻の瑞子が同年10月に亡くなると、利英は12月に73歳でこの世を去ることになりました。彼の死は、南部家の歴史における一つの重要な節目となります。

エピソード

昭和11年、著名な画家岡田三郎助にアトリエを提供し、彼が大作を完成させる手助けをするなど、文化への貢献も見逃せません。利英の人生はその多様性と影響力に満ちており、日本の近現代史を語る上で欠かせない人物です。

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