南部晴継

南部晴継は、戦国時代の陸奥国（現在の青森県と岩手県の一部）で活躍した武将であり、南部氏の25代目当主です。元亀元年（1570年）に、24代当主・南部晴政の長男として誕生しました。母は身分の低い百姓の娘でしたが、晴継の死後に出家し、大宝比丘尼と名乗りました。

当初、父・晴政は実子の誕生を諦め、叔父・石川高信の長男である南部信直を養子に迎えていました。しかし、晴継が生まれると、晴政は次第に信直を疎んじるようになり、天正4年（1576年）には信直を廃嫡し、晴継を後継者に指名しました。翌天正5年（1577年）には、北信愛を烏帽子親として元服しました。

晴継の家督相続の時期については、天正元年（1573年）、天正5年（1577年）、天正10年（1582年）の3つの説がありますが、信直と晴政の養子関係が解消されたのが天正4年であることから、天正5年説か天正10年説のいずれかに絞られます。しかし、晴継がまだ幼少であったことを考慮すると、天正10年（1582年）に父・晴政が病死した後、家督を継いだとする説が有力です。

しかし、晴継は家督を継いだ直後の天正10年（1582年）、わずか13歳という若さで疱瘡を患い、亡くなってしまいます。南部氏の記録である『南部根元記』によると、晴継は父の葬儀を終えて三戸城に帰る途上、夜間に暴漢に襲われて命を落としたとも伝えられています。この暴漢は、家督を狙っていた南部信直が差し向けた、あるいは九戸政実が差し向けたとも言われ、暗殺の可能性が高いとされています。また、別の説では、父・晴政もろとも南部信直の反乱によって殺害されたとも伝えられています。

南部晴継の早すぎる死は、南部氏の歴史において大きな転換点となりました。彼の死後、南部氏の家督は南部信直が継ぐことになり、南部氏は新たな時代を迎えることになりました。

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