三戸城

三戸城（さんのへじょう）

三戸城は、青森県三戸郡三戸町梅内に位置する日本の城で、別名、留ヶ崎城とも呼ばれています。その城跡は、現在、国の史跡として指定されています。

概要

三戸城跡は、三戸町のほぼ中央に位置し、馬淵川と熊原川によって形成された河岸段丘上に築かれた連郭式山城です。これらの河川は天然の堀として機能し、周囲から孤立した台地となっています。低地との比高差は約90メートル、城の規模は東北から西南方向に約1.5キロメートル、北西から南東方向に約400メートルに及びます。

近世の城絵図によれば、城の中心である大御門から東側が城の主要部であり、本丸などが配置されていました。大手門から本丸手前までは一門や重臣の屋敷、北東側には直臣たちの屋敷、そして城下にはその他の家臣たちが配置されていました。平成元年（1989年）には、山麓に綱御門が復元され、周辺は城山公園として整備されています。昭和42年（1967年）には、天守風の建物が築かれ、「温故館」として歴史資料館となりました。

2022年（令和4年）3月15日には、三戸城跡が国の史跡に指定されました。しかし、天守風の建物である「三戸城温故館」については、文化庁から史実に基づかない建造物として将来的な撤去が求められています。

沿革

伝承によれば、領主である南部晴政の時代、天文8年（1539年）に聖寿寺館（本三戸城）が家臣の放火によって焼失し、その後、この地に三戸城が築かれたと伝えられています（下斗米家譜）。当時の三戸南部氏は勢力を拡大しており、組織を統制するための拠点としてこの城が必要になったと考えられています。

晴政・晴継の死後、天正10年（1582年）には田子信直（南部信直）が三戸南部氏の家督を継ぎ、三戸城に入城しました。天正18年（1590年）に小田原征伐へ参陣した信直は、豊臣秀吉から所領を安堵する朱印状を受け、領内の家臣たちの城館の破棄と、妻子を居城下に集めることを命じられました。これにより、三戸城が南部氏の居城としての地位を確立したと考えられます。

天正19年（1591年）の九戸一揆平定後、奥州仕置軍を率いた蒲生氏郷らによって、三戸城は石垣を持つ近世城郭へと改修されました。この際、本丸には三層三階の御三階櫓が建てられたと考えられています。

寛永10年（1634年）に盛岡城が居城と定められると、三戸城は御古城と呼ばれ、城代が預かる形となりました。しかし、石垣の補修や御掃除奉行が設置されるなど、藩主による管理が行われました。貞享年間（1684～88年）には、城代が廃止され、三戸代官の支配となりました。

現在、旧城門のうち、表門、搦手門、代官所門が三戸町指定有形文化財となっています。旧表門は町内の龍川寺に、旧搦手門は法泉寺に移築されています。

参考画像

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脚注

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 3 岩手県』角川書店、1985年。ISBN 4040010302。
児玉幸多・坪井清足『日本城郭大系 第2巻 青森・岩手・秋田』新人物往来社、1980年7月15日。

関連項目

諸城破却書上
平良ヶ崎城
聖寿寺館（本三戸城）
馬場館
大向館
日本の城一覧

外部リンク

岩手県庁
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