南郷大字島守

南郷大字島守（なんごうおおあざしまもり）

南郷大字島守は、青森県八戸市南郷地区に位置する地域です。旧島守村に相当し、豊かな自然と歴史、独特の文化が息づいています。

地理

島守は、八戸市の南部に位置し、東は三戸郡階上町、西は市野沢・頃巻沢、南は岩手県九戸郡軽米町、北は是川と接しています。新井田川中流域の盆地状の沖積低地と、その支流域の山間地から成り立っており、北上山地北端の丘陵が連なる地形です。平地が少なく、傾斜地の多くは山林や原野に覆われています。中央部を新井田川が流れ、流域には水田が広がっています。

周囲を丘陵に囲まれた地形は、隠れ里のような様相を呈し、平重盛隠遁地説や源義経伝説など、歴史ロマンを掻き立てる伝承が残されています。

歴史

「すなもり」という地名が確認できる最も古い記録は、1334年（建武元年）と推定される文書です。江戸時代には盛岡藩の支配下に入り、後に八戸藩の所領となりました。

明治時代初期には、坂本・沢代・長瀬など20もの集落を支村として擁していました。1889年（明治22年）には頃巻沢村と合併して島守村となり、1957年（昭和32年）に中沢村と合併して南郷村となりました。2005年（平成17年）には八戸市に編入合併され、現在に至ります。

産業

水稲耕作、葉タバコ、リンゴ栽培が盛んな農村地帯であり、丘陵地では肉牛の飼育も行われています。豊かな自然を生かした農業が、島守の主要な産業となっています。

文化財

島守には、数多くの文化財が残されています。

旧島守発電所: 青森県最古の現存する水力発電所として、国の登録有形文化財に登録されています。大正時代のドイツ製横軸水車と発電機が残されており、当時の技術を今に伝えています。
島守小学校神楽: 岩手県軽米町の金剛院神楽の流れを汲む伝統芸能で、八戸市指定無形文化財に指定されています。児童らが継承し、地域のイベントで披露されています。
島守駒踊: えんぶりの門付の代わりとして始まったとされる踊りで、八戸市指定無形文化財に指定されています。豊作祈願や家内安全を願って、地域を回っていた歴史があります。
島守虎舞: 虎の霊力が悪魔払いや火伏せに効果があると信じられている伝統芸能で、八戸市指定無形文化財に指定されています。
カヤの木: 推定樹齢800年の巨木で、県天然記念物に指定されています。平重盛が植えたとされる伝承があり、歴史を感じさせます。
モミの木、イチイの木: 龍興山神社の参道脇にあるモミの木と、荒谷えんぶり伝承館の奥にあるイチイの木は、それぞれ八戸市天然記念物に指定されています。

島守弁

島守地区を中心に話されている方言は、南部弁や津軽弁とは異なる独特なものです。平家一族が島守に辿り着いたことが起源であるという説があります。島守地区自治会連合会は、島守弁の保護のためにかるたや辞典を作成しています。

その他の情報

人口: 2020年4月30日時点で1,763人、732世帯。
交通: 青森県道・岩手県道11号八戸大野線、青森県道42号名川階上線、青森県道138号島守八戸線などが通っています。
* 施設: 八戸市南郷歴史民俗資料館、島守郵便局、旧島守発電所公園などがあります。

島守は、豊かな自然と歴史、文化が調和した魅力的な地域です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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