南長岡ガス田

南長岡ガス田

南長岡ガス田は、国際石油開発帝石（INPEX）が新潟県長岡市南西部の越路原丘陵に保有する、日本国内最大級のガス田・油田です。地下4,000～5,000メートルの大深度から採取される天然ガスは、パイプラインを通じて甲信越や北関東地域の都市ガス事業者に供給されています。

概要

1979年（昭和54年）に帝国[[石油]]（現：国際石油開発帝石）によって発見され、1984年（昭和59年）から生産が開始されました。近隣には石油資源開発が保有する片貝ガス田があり、これらを合わせて「南長岡・片貝ガス田」または「越路原ガス田」と呼ばれています。

ガス田の鉱区内には、日本最大級の天然ガス生産施設である「越路原プラント」が設置されています。ここでは、天然ガスに含まれる二酸化炭素や水分が除去され、精製されたガスがパイプラインを通じて甲信越・北関東へと送り出されます。関東へのパイプラインは、長岡市から上越市、長野市、東御市、群馬県富岡市、埼玉県鴻巣市を経由して東京都足立区へと至ります。また、静岡県へは東御市から分岐し、諏訪市、甲府市、富士吉田市、御殿場市、富士市を経由して静岡市へと繋がっています。

近年では、石油など競合エネルギーの価格高騰により天然ガスの需要が急増しており、静岡や上越のLNG受入基地からの供給も活用した「天然ガスバリューチェーン」と呼ばれる安定供給体制が構築されています。さらに、近傍の関原ガス田（1968年枯渇）を利用した天然ガス地下貯蔵も行われ、季節や時間による需要変動に対応しています。

2007年（平成19年）からは、越路原プラントに隣接して高効率ガスタービンコンバインドサイクル火力発電所（出力約5万5千kW）が建設され、電力卸供給事業も展開されています。

歴史

明治・大正時代には、越路原の南端にあたる小千谷市桜町地区でアメリカ製のロータリー式掘削機を用いた試掘が約100坑行われましたが、石油やガスは発見されず、探鉱は中止されました。当時の掘削技術では約1,500メートルが限界でした。

第二次世界大戦後、復興のための石油需要が高まると、再び越路原が注目されるようになり、探鉱の結果、約1,000メートルの比較的浅い深度で片貝ガス田が発見されました。

昭和40年代頃からは、高度経済成長に伴う石油需要のさらなる高まりと、掘削技術の革新により4,000メートルを超える探鉱が可能となり、グリーンタフ層と呼ばれるガスを多く含む地層から、商業的に採算の取れる量のガス産出に成功しました。

沿革

1976年（昭和51年）：試掘により長岡西方のグリーンタフ層でガスの存在を確認。
1979年（昭和54年）：南長岡ガス田を発見。
1981年（昭和56年）：試掘と技術的検証を経て開発を決定。
1984年（昭和59年）：越路原プラントを建設し、商業生産を開始。
2007年（平成19年）：越路原プラント隣接地に火力発電所（越路原発電所）を建設、営業運転を開始。
2018年（平成30年）：長岡ニュータウンの西部丘陵東地区に、当ガス田のガスを用いて発電を行う長岡火力発電所が営業運転を開始。
2022年（令和4年）：長岡火力発電所が発電所事業を長岡パワージェネレーションに譲渡。発電事業にはシェルの日本法人も参画。

構造

石油やガスは、トラップと呼ばれる湾曲した地層に閉じ込められています。越路原は、南北を軸として丘陵地を頂点とし、東西に湾曲した構造を地下に持つ火山岩型のトラップを形成しています。地下約4,000メートルには約1,500万年前の七谷層があり、深層ガス田ではこの七谷層（グリーンタフ）に貯留されたガスを取り出しています。越路原では、貯留層の温度が150度以上と高温であるため、石油よりもガスが多く生成されたと考えられています。

出荷施設

越路原プラント：1984年9月より稼働。処理能力は日量420万Nm3。
* 親沢プラント：1994年10月より稼動。処理能力は日量166万Nm3。

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