単型 (分類学)

単型（Monotypic）とは

単型とは、生物の分類体系において、ある分類群（例えば、科、属など）の下位に、さらに下位の分類群が一つしか存在しない状態を指す言葉です。単形、モノタイプとも呼ばれます。

つまり、あるグループが単型である場合、そのグループに属する生物は、他に近縁の生物が存在しない、いわば「一つだけのグループ」であることを意味します。

この概念は、生物分類の様々な階級で適用され、例えば、科が単型であれば、その科に属する属が一つしかないことを指し、属が単型であれば、その属に属する種が一つしかないことを意味します。

具体例

以下に単型の具体例をいくつか挙げます。

植物
キク科のエゾギク属（Callistephus）は、エゾギク（Callistephus chinensis）一種のみを含む単型の属です。
カンナ科は、50種以上の種を含むものの、カンナ属（Canna）一種のみで構成される単型の科です。
裸子植物のソテツ綱イチョウ目は、科、属、種と3つの階級で単型です。
シダ植物のヒカゲノカズラ綱は、目、科、属がそれぞれ一つのみで構成される単型です。
APG植物分類体系では、新しい科が多く設立された結果、1種のみで構成される単型の科が多数存在します。

動物
微顎動物門のリムノグナシアは、門、綱、目、科、属、全てで単型であり、一種のみで門を構成する珍しい例です。
センモウヒラムシは、以前は平板動物門の単型種とされていましたが、近年、新たな属種が発見されています。
内肛動物、有爪動物、毛顎動物などは、綱または目の段階まで単型です。

このように、単型という言葉は、どの分類階級に対しても使用できます。一般的に、分類階級が高いほど、その群に属する生物は、他の生物との系統的な隔たりが大きい、つまり「孤立した状態」にあることを意味します。

単型の意味と背景

単型であるということは、そのグループに近縁な分類群が存在しないことを示します。生物は、進化の過程で種分化を繰り返すことで多様性を獲得してきたと考えられています。したがって、一般的には、ある程度の近縁な群が存在することが自然です。

単型の状態は、例えば、あるグループの多くの分類群が絶滅した場合に生じることがあります。ヒカゲノカズラ植物門などがその例と考えられます。このグループには、かつては多数の種が存在していましたが、現在では、ヒカゲノカズラ類、イワヒバ類、ミズニラ類が、それぞれ科または属のレベルまで単型として残存しています。

イチョウやシーラカンスなども、それぞれが属する分類群において唯一の生き残りであり、単型の例として挙げられます。これらの生物は、かつての繁栄を示す証拠として「生きている化石」と呼ばれることもあります。

単型は、生物の進化の歴史や絶滅のパターンを理解する上で重要な概念であり、生物多様性の現状を把握するための手がかりとなります。

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