単枠指定制度

単枠指定制度

単枠指定制度（たんわくしていせいど）は、日本の中央競馬において採用された特定の馬券発売に関する独自の制度である。この制度は、出走馬の中で特に人気が集中する馬を特定の枠に固定することにより、馬券の販売に伴うトラブルを未然に防ぐことを目的としている。1973年の東京優駿（日本ダービー）でハイセイコーが66.7%の単勝支持率を得る中、制度が導入され、1974年の皐月賞で初めて適用された。

目的と背景

かつて連勝式馬券には、馬番連勝（馬連）が存在せず、連勝複式（連複）、現在の枠番連勝にあたるスタイルが主流であった。この構造は、同じ枠に配置された馬たちの組み合わせを制限することで、全体の配当を抑え、厳しい賭けと言われる射幸心を可能な限り減少させるものであった。しかし、ある特定の馬に投票人気が集中する際、その馬が出走取消や競走除外になった場合、残った馬が依然として馬券に含まれるため、的中確率が上がらず、従って馬券の返還が行われない問題が生じる可能性があった。この課題を解消するため、人気馬を1頭の枠に固定する単枠指定という考え方が生まれたのである。

制度の実施

日本中央競馬会は、概ね30%を超える単勝支持率を見込まれた出走馬を選定し、その馬のみを1つの枠（単枠）に固定した。この変更により、同枠に配置された他の馬が除外されるため、人気集中による影響を最小ケーブル化することが意図されていた。

初めて公に適用されたのは1974年の皐月賞で、その際には無敗のキタノカチドキが単枠に指定され、同馬が競走で優勝した歴史がある。また、1976年には第37回菊花賞において、トウショウボーイとクライムカイザーの2頭が同時に単枠指定されたのが特徴である。

確率と出現数

1レースにおいては最大3頭までの単枠指定が可能であり、1995年の第77回天皇賞では初めて3頭同時指定が実現した。また、過去には複数回の有名レースが単枠指定されており、近年は特別競走や一般競走でもその適用が見られる。

1991年には馬番連勝複式の馬券販売が全国で開始され、単枠指定制度は廃止となった。その年9月22日に開催されたラジオ日本賞セントライト記念が、最後の適用となった競走である。

類似制度

地方競馬や他の公営競技には、友引除外（ともびきじょがい）と呼ばれる制度も存在した。この制度は、特定の人気馬が取り消された場合、同じ枠の馬も出走取り消しになるものであり、中央競馬では正式に存在したことはないが、過去の資料から非公式に行われた可能性が示唆されている。

結論

結局、単枠指定制度は中央競馬の舞台で多くの人気馬が競い合う中、馬券発売時の透明性と公平性を図るための重要な仕組みであった。しかし、経年変化とともに運用上の課題も現れ、最終的に制度そのものは廃止され、現代の馬券市場に新しいシステムが導入されるきっかけとなった。

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