第37回菊花賞

第37回菊花賞

1976年11月14日、京都競馬場で開催された第37回菊花賞は、競馬ファンにとって特別な意味を持つレースとなりました。このレースでは、当時まだ無名に近かったグリーングラスが見事な逆転劇を演じ、三強時代とも呼ばれる時代の幕開けを告げました。

レース施行前の状況

この年の牡馬クラシックには特に注目が集まっていました。関西からの有力馬テンポイントが無敗で勢いに乗る一方、関東馬のトウショウボーイも負けじと力を見せていました。皐月賞では、トウショウボーイがテンポイントに5馬身差をつける圧勝を果たし、続く日本ダービーでも優勝。競馬界では、この二頭の対決が注目の的となっていました。

しかし、グリーングラスは菊花賞を迎えるまでの道のりは容易ではありませんでした。出走が直前に決まり、当時の獲得賞金では21頭中最下位という立場でした。グリーングラスを管理していた安田富男騎手は、主戦騎手の選択を迫られた末にこの馬に乗ることを決めました。彼は、グリーングラスが重馬場での勝利を収めていたことから、雨の影響を期待しながらレースに臨みました。

レースの展開

レースが始まると、テンポイントとトウショウボーイは積極的なスタートを切り、すぐに先手を取りました。その後、バンブーホマレとセンターグッドが続き、グリーングラスは思いの外、出遅れることなく好位につけます。

二周目のしんどい場面で、トウショウボーイが先頭に立ち、テンポイントがその後を追います。しかし、突如としてグリーングラスが内からスムーズに進出し、直線へと入って行きました。この瞬間、観客は驚愕しました。グリーングラスはまるで空を飛ぶかのような末脚を披露し、テンポイントに2馬身の差をつけてグランドフィナーレを飾りました。トウショウボーイは3着に沈むこととなり、三強の中でグリーングラスが見事な優勝を果たしたのです。

高揚する場内の雰囲気

勝利したグリーングラスを見た観衆は言葉を失いました。彼の勝利は多くの人々によって「遅れてきた青年」と称賛され、波乱の結果をもたらしました。レース後、グリーングラスのたたえられた能力に対して、調教師の武田文吾は「空を飛ぶような末足だった」と語り、その能力が一過性のものでないことを示しました。

また、この菊花賞は「TTG」と呼ばれる三強時代が初めて顔を揃えたレースでもあり、その象徴的な意味合いを持っていました。安田富男騎手にとっても、クラシック初騎乗での初勝利となり、その後のキャリアにおいてもこの勝利が重要な位置を占めることになりました。

最後に

グリーングラスが優勝した際に払戻された単勝5250円は、2020年現在でも菊花賞の単勝最高払い戻し金額として記録されています。その後、グリーングラスは他の競走には出走せず、この菊花賞が彼の4歳最後のレースとなりました。

第37回菊花賞は、歴史的な瞬間を演出し、三強時代の幕開けとともに多くのファンの記憶に刻まれることとなったのです。

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