第77回天皇賞

第77回天皇賞（春）の詳細

1978年4月29日、京都競馬場で開催された第77回天皇賞（春）は、馬齢を旧表記の数え年で示す特異なレースであった。出走馬の中で1番人気はグリーングラス、続いてプレストウコウとカシュウチカラが名を連ね、これら3頭が同時に単枠指定を受けたことは史上初の出来事となった。

グリーングラスは、12番人気馬として菊花賞を制した実績を持ちつつも、古馬になってからはトウショウボーイやテンポイントに差をつけられる状態が続いていた。トレーナーの判断により、騎手が嶋田功から岡部幸雄に変更され、彼とのコンビでの新たな挑戦が期待されていた。

プレストウコウは、マルゼンスキー不在のクラシック勝ち馬として注目を集めた。この馬は菊花賞の勝者でありながらも、他の世代のスターたちの影に隠れてしまうことが多かった。トレーナーの名が示す通り、四代で有名な「銀髪鬼」の異名を持った彼は、短距離血統の持ち主でありながら、菊花賞ではそれを覆す快挙を成し遂げた。

カシュウチカラは、その名の通りTTG（トウショウボーイ、テンポイント、グリーングラス）世代の一員だが、早い段階では条件馬として活躍を目指していた。転機は古馬になってから訪れ、成績が急上昇した。クオリティを発揮し重賞を数多く制する実力馬へと成長した。

さらに注目すべきは、前年に17戦ものレースをこなしたトウフクセダンである。重賞レースには常連として名を連ね、その実績は新たなスリリングな展開を生み出す可能性を秘めていた。

レース展開

3400メートルの芝コースに出走した本レースは、曇り空の下、芝はやや重という条件で行われた。競走馬たちは意気揚々とスタートを切るも、逃げ馬が不在だったため、4～5頭が自然に並んで進むことになる。スタートダッシュの際、グリーングラスが先頭に立ち、他馬は次々と彼に続いた。

レース中盤、プレストウコウに異変が生じ、鞍上の郷原が立ち上がった瞬間、観衆からは驚きと混乱が広がった。プレストウコウはそこから失速し、やむなく競走中止となるという珍事が発生。この決断は当時、非常に珍しいケースであり、その影響を受けて騎手やトレーナーに制裁が科せられることになった。

プレストウコウの離脱により、レースは大きな展開を見せる。キングラナークとハッコウオーが先頭に立ち、続く馬群の中でグリーングラスが静かにその動きを見極めながら再び先頭へと進出する。そして、カシュウチカラが猛然と追い上げてくる。

激しい競り合いが繰り広げられ、直線ではグリーングラスが目一杯の走りで後続を振り切る。カシュウチカラも全力で追走するが、トウフクセダンが粘り強く前に迫ってくる。結局、最後はグリーングラスが3度目の挑戦で天皇賞の勝利を収めた。

競走結果

この壮絶なレースの結果、グリーングラスが勝利を手にし、長年の苦労が報われる瞬間となった。一方、プレストウコウの騎手の行動とその結果は、今でも競馬界で語り草となっている。

払戻金

当レースの具体的な払戻金については後日発表を待ちたいところである。振り返れば、グリーングラスの勇姿は多くのファンに深い印象を残した。

その他

本レースの実況は日本短波放送の北野守氏、関西テレビの杉本清氏が担当し、視聴者にその緊張感を伝えた。

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