博労淵の戦い

博労淵の戦い

博労淵の戦い（ばくろうぶちのたたかい）は、大坂冬の陣における一局面で、慶長19年（1614年）末に勃発しました。この戦いは、大坂城を守る豊臣方と、これを攻める徳川方との間で繰り広げられた激しい攻防戦の一部です。

戦いの背景

豊臣方は、大坂城の西側を守るため、木津川沿岸に複数の砦を築きました。その一つが博労淵（現在の大阪市西区立売堀付近）に位置する砦で、薄田兼相が守将として700の兵を率いて守備していました。木津川口砦が陥落した後も、博労淵の砦は豊臣方の重要な拠点として残されていました。

戦いの経過

11月29日、守将の薄田兼相は、砦の守りを平子正貞に任せ、自らは江口の遊女屋に出かけていました。その夜、徳川勢は蜂須賀至鎮、池田忠雄、石川忠総らを率いて、博労淵の砦に夜襲をかけました。石川忠総の部隊は5隻の船で伝法口から、蜂須賀至鎮の部隊は水陸二手に分かれて木津口から迫り、砦を包囲しました。

徳川勢は、複数方向から同時に攻撃を仕掛け、不意を突かれた豊臣方の守備兵は混乱しました。留守を預かっていた平子正貞は、奮戦むなしく戦死し、首を討ち取られました。これにより、博労淵の砦は徳川勢の手に落ちました。

戦いの影響

この戦いで、守将の薄田兼相は、持ち場を離れて遊んでいたため、その不覚を大いに非難されました。彼は「橙武者」という不名誉なあだ名をつけられ、見かけ倒しで役に立たない武将の代名詞とされました。一方、戦死した平子正貞は、息子と共に七代にわたって戦死した一族として、その忠義を称えられました。

博労淵の戦いは、大坂冬の陣における一例として、戦場における武将の責任と、油断に対する戒めを後世に伝える出来事となりました。また、この戦いの後、豊臣方の劣勢はさらに強まり、大坂冬の陣の終結へと向かうことになります。

参考資料

* 二木謙一『大坂の陣―証言・史上最大の攻防戦―』中央公論社、1983年。

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