石川忠総

石川忠総について

石川忠総は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将であり、大名です。彼は、大久保忠隣の次男として生まれましたが、外祖父である石川家成の養子となり、石川家を継ぎました。その生涯において、美濃大垣藩、豊後日田藩、下総佐倉藩、そして近江膳所藩の藩主を歴任し、その能力と功績から、徳川家康や秀忠からの信頼も厚かった人物として知られています。

生涯

天正10年（1582年）、石川忠総は徳川氏の家臣である大久保忠隣の次男として誕生しました。元服の際には、徳川秀忠から一字を拝領し「忠総」と名乗るようになります。慶長3年（1598年）からは徳川家康の小姓頭として仕え、慶長5年（1600年）の会津征伐では下野小山に在陣しました。この際、堀尾忠氏から家康に忠誠を示すために妹を嫁がせたいとの申し出があり、忠総がその婚約をすることになりました。関ヶ原の戦いの後、家康の命により外祖父である石川家成の養子となり、慶長8年（1603年）には従五位下主殿頭に叙任され、5,000石を賜りました。石川家成の母は家康の母の姉妹にあたるという縁もあり、石川家と徳川家は非常に近い関係にあったことがわかります。


慶長12年（1607年）、石川家成の跡継ぎである石川康通が亡くなると、幼い忠義の代わりに家成が再び家督を継ぎましたが、家成も慶長14年（1609年）に亡くなり、忠義がまだ幼かったため、家康の命により忠総が石川家の家督（美濃大垣藩5万石）を継ぐことになりました。


慶長19年（1614年）には、実父の忠隣が改易されたことで、忠総も連座して駿河で蟄居を命じられました。しかし、大坂冬の陣が起こると、忠総は石川家の家督相続人であり、忠隣の連座にはあたらないとされ、罪を許されて従軍し、戦功を挙げました。翌年の大坂夏の陣でも同様に戦功を挙げています。元和2年（1616年）には1万石を加増され、豊後日田へ移封されました。九州では初の譜代大名でありました。


元和6年（1620年）の大坂城修築でも功績を挙げ、肥後熊本藩の加藤忠広が改易された際には、その後処理を任されました。寛永10年（1633年）には、下総国佐倉7万石へ加増移封され、翌年には近江国膳所へ移封し、従四位下に叙爵、江戸幕府3代将軍・徳川家光の上洛時には参内の供奉を勤めました。


慶安3年12月24日（1651年2月14日）、69歳で亡くなりました。嫡男である廉勝が早世していたため、廉勝の長男であり、嫡孫である憲之が膳所藩石川家の第2代藩主となりました。翌年には遺領から次男・総長に1万石、四男・貞當に4,000石、七男・総氏に3,000石がそれぞれ分与されました。忠総の子孫は、伊勢亀山藩主、常陸下館藩主、そして旗本3家として明治維新まで存続しました。

逸話

石川忠総は、石川家成の外孫で大久保忠隣の子という譜代家臣の家柄でありながら、その才能と数々の功績によって、徳川家康や秀忠から大いに信頼されていました。家康は病床にある時、秀忠に忠総を大切にするように言い残したとまで伝えられています。


また、慶長17年（1612年）には、忠総の依頼によって『源氏物語手鑑』が制作されました。この作品は、土佐光吉が筆を執り、中院通村ら公家18人が詞書を寄せたもので、その制作経緯は、詞書を記した一人である山科言緒の日記『言緒卿記』によって詳しく知ることができます。この作品は、依頼者、斡旋者、絵師、制作年代が詳細にわかる貴重な文化財であり、現在は和泉市久保惣記念美術館に所蔵されています。さらに、膳所藩主時代には、特産品として知られる膳所焼の隆盛にも力を注ぎました。

系譜

実父: 大久保忠隣
実母: 石川家成の娘
養父: 石川家成
正室: 堀尾吉晴の娘
継室: 前田玄以の娘
子女:
石川廉勝（長男）：生母は正室
石川総長（次男）：生母は正室
石川貞當（四男）：生母は正室
石川総氏（七男）：生母は正室
石川泰総
石川邦総
* 中川久清正室


石川忠総は、その生涯を通じて、徳川幕府に貢献した人物であり、文化的な活動にも積極的に取り組んだ人物であったと言えるでしょう。

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