占守型海防艦

占守型海防艦の詳細

占守型海防艦（しむしゅがたかいぼうかん）は、大日本帝国海軍が北方海域での防衛活動のために設計・建造した艦艇で、特にオホーツク海での漁業保護を目的としています。これらの艦は、基準排水量が860トンと比較的小型でありながら、高い耐寒性能を備えています。さらに、艦首には日本の象徴である菊紋章が付けられ、「軍艦」としての地位が与えられていました。

建造背景

昭和初期、日本とソ連の間で漁業に関する争いが頻繁に発生していました。このため、日本海軍は漁業を守る目的で駆逐艦の派遣を考えていましたが、駆逐艦は高コストで耐寒装備が不足しているため、現実的ではありませんでした。その後、昭和12年度の第三次補充計画によって、漁業保護用の艦の建造が実現し、占守型海防艦が誕生しました。

設計を担当したのは艦政本部ではなく三菱重工であり、厳しい北方海域での運用を考慮して、艦の舷側は高く、艦首楼は長めに設計されています。このような工夫により、荒天でも安全に移動できる露天甲板を持ち、充実した解氷装置や暖房设施も搭載されていました。

構造と性能

占守型は漁業保護用に特化しているため、武装は控えめであり、最高速度も速くはありませんが、ディーゼル機関の採用により燃料消費が少なく、航続距離が長いという特性を持っています。また、艦には強力な造水装置が装備されており、真水の供給に困ることはなく、乗員は入浴も可能でした。

武装

戦争が始まった昭和16年には、南方への船団護衛にまわされ、一隻が戦没しました。後期には対空機銃や爆雷などの軍備が追加されましたが、主砲は平射砲であり、対空戦闘には不向きでした。

生産と形式の特異性

占守型は、同型艦として4隻が建造されましたが、生産工数が多く、大量生産には向いていませんでした。これは設計が独自性を重視したためで、量産効果が後回しにされたためです。この型の艦艇は後の択捉型や御蔵型の海防艦の基礎となりました。

同型艦

• - 占守（しむしゅ）: 1940年6月30日に竣工し、1947年にソ連に引き渡された。
• - 国後（くなしり）: 1940年11月3日に竣工、戦後は復員船として使用された。
• - 八丈（はちじょう）: 1941年3月31日竣工、1948年に解体。
• - 石垣（いしがき）: 1941年2月15日に竣工し、1944年に沈没。

エピソード

占守型の建造当初、海防艦の基準排水量が860トンであるにもかかわらず、誤って8,600トンと発表されるというハプニングもありました。このように、占守型海防艦はその背景から独自の歴史を持つ艦種としても知られており、海軍の組織や運用において様々なエピソードを残しました。

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