即日帰郷

即日帰郷（そくじつききょう）とは

即日帰郷とは、主に以下の2つの状況を指す言葉です。

1. 徴兵制度における即日帰郷: 徴兵検査で不合格と判断されたり、入隊後の身体検査で兵役に従事できないと判断されたりした場合に、その日のうちに帰宅が許されること。
2. 公営競技における即日帰郷: 競輪、競艇、オートレースなどの公営競技において、選手が失格処分を受けた際に、開催期間の終了を待たずに競走場から帰宅させられること。

帝国陸海軍の即日帰郷

概要

日本では、かつて徴兵制度が存在し、満20歳以上の男子は兵役の義務を負っていました。しかし、徴兵検査で丁種不合格と判定されたり、丙種以上で合格しても入営時の身体検査で兵役に耐えられないと判断されたり、思想に問題があると判断されたりした場合には、即日帰郷を命じられることがありました。即日帰郷を命じられると、軍からは除隊扱いとなり、長期間の現役兵としての任務から解放されました。

検査

入営検査は自己申告制であり、軍医が新兵を集めて身体の不具合を申告させ、簡単な診察を行って判断していました。しかし、軍医の経験不足や虚偽申告の見抜き違いなどにより、誤診や不当な判定も存在しました。

その後

即日帰郷となった者の多くは、兵役は免除されるものの、軽作業は可能であったため、勤労報国隊に配属され、軍需工場などで作業に従事しました。

事例

三島由紀夫の小説『仮面の告白』は、作者自身の体験に基づき、召集後の入隊検査で不合格となり、海軍工廠で勤労奉仕に従事した主人公を描いています。
戸村一作は、陸軍に召集されたものの、以前からの非戦活動が問題視され即日帰郷となっています。

公営競技の即日帰郷

概要

公営競技では、競走に出場する選手は開催期間中、施行者および開催場の管理下に置かれます。競輪、競艇、オートレースなどでは、選手が競走中に失格処分を受けると、開催期間の終了を待たずに管理から除外され、競走場を後にしなければならない場合があります。これが即日帰郷と呼ばれるものです。

BOAT RACE（競艇）

前検不合格：開催初日の前日に実施される前検において、体調不良や持ち物忘れ、遅刻などの理由で不合格となった場合、即日帰郷となります。
レース中の失格：レース中に内・外回り違反、スタート事故、走行妨害などの選手責任による失格、不良航法、待機行動違反などを複数回犯した場合も、即日帰郷となることがあります。
非常識なフライング：かつては、スタートタイミングが極端に早いフライング（100分の5秒以上）を犯した場合、一発で即日帰郷となる統一内規が存在しました。
即刻帰郷：極めて悪質な違反があった場合や、フライング・出遅れなどによる欠場を見過ごすなどの重過失があった場合には、即日帰郷よりも重い「即刻帰郷」処分が下されることがあります。

競輪・オートレース

競輪・オートレースでも、競艇と同様に前検不合格により即日帰郷となることがあります。また、レース中にルール違反を犯し、落車や車両故障の原因となった場合、または違反行為そのものにより失格となった場合も、即日帰郷を命じられることがあります。

その他

途中帰郷：選手が自己都合や病気などで開催期間の途中でレースを欠場し、帰郷する場合は、「途中帰郷」と呼ばれ、即日帰郷とは区別されます。
レースカット：コロナ禍においては、感染拡大防止対策として、ガールズケイリンなどで欠場者が続出した場合に、レース数を減らす措置が取られることがありました。
* 宿舎内への通信機器持ち込み禁止などの規則違反を犯した場合も、即日帰郷を命じられることがあります。

もう一度検索