卵巣腫瘍

卵巣腫瘍：種類、症状、診断、治療を網羅的に解説

卵巣腫瘍は、卵巣に発生する腫瘍の総称であり、良性から悪性まで多様な種類が存在します。発生する細胞の種類によって、表層上皮性・間質性腫瘍、性索間質性腫瘍、胚細胞腫瘍などに分類され、それぞれに特有の特性や症状を示します。正確な原因は解明されていませんが、年齢、遺伝的要因、生活習慣などがリスクに関連すると考えられています。

卵巣腫瘍の種類

卵巣腫瘍は、その起源となる細胞の種類によって大きく3種類に分類されます。

1. 表層上皮性・間質性腫瘍

卵巣の表面を覆う上皮細胞や間質細胞から発生する腫瘍です。最も頻度の高い卵巣腫瘍であり、良性から悪性まで様々な種類があります。

漿液性腫瘍: 卵管の上皮細胞と類似した細胞から発生し、漿液性の分泌物を産生します。良性の漿液性嚢胞腺腫から、悪性の漿液性嚢胞腺癌まで幅広い悪性度を示します。漿液性嚢胞腺癌は卵巣癌の中で最も多く、早期に腹膜播種を起こしやすいことが特徴です。
粘液性腫瘍: 子宮頸管腺の上皮細胞と類似した細胞から発生し、粘液性の分泌物を産生します。多房性で、隔壁が薄いのが特徴です。転移しにくく、予後が良い傾向があります。
明細胞腫瘍: 妊娠時の子宮内膜と類似した細胞から発生します。子宮内膜症との関連が指摘されており、化学療法の効果が低い場合が多いです。
類内膜腫瘍: 非妊娠時の子宮内膜と類似した細胞から発生します。充実性で、予後が良い傾向があります。

表層上皮性腫瘍の発生メカニズムには、排卵に伴う卵巣上皮の損傷と修復、遺伝子変異などが関与すると考えられています。リスクファクターとしては、排卵回数、糖尿病、喫煙、動物性脂肪の摂取などがあげられます。一方で、低用量ピルは排卵を抑制することで卵巣がんのリスクを減少させる効果があるとされています。

2. 性索間質性腫瘍

卵巣の性索間質細胞から発生する腫瘍です。性ホルモンを産生する細胞から発生するため、ホルモン産生に関連した症状が現れることがあります。

顆粒膜細胞腫: エストロゲンを産生し、閉経後の女性で再女性化症状を引き起こすことがあります。
莢膜細胞腫: エストロゲンを産生します。
セルトリ・間質細胞腫、ライディッヒ細胞腫: アンドロゲンを産生し、女性化症状や男性化症状を引き起こすことがあります。

性索間質性腫瘍は、ホルモン産生に伴う症状が比較的早期に現れるため、早期発見の可能性が高いのが特徴です。

3. 胚細胞腫瘍

卵子の前駆細胞である原始生殖細胞から発生する腫瘍です。良性腫瘍である成熟嚢胞奇形腫（デルモイド）が有名です。

成熟嚢胞奇形腫: 皮膚、毛髪、歯などの組織を含んだ嚢胞性の腫瘍で、多くは良性です。しかし、35歳以上の女性では悪性転化の可能性も考慮する必要があります。
* 未熟奇形腫: 悪性の胚細胞腫瘍で、予後不良です。

卵巣腫瘍の症状

卵巣腫瘍は初期症状が乏しいことが多く、早期発見が困難です。そのため、腹部膨満感、腹部腫瘤、頻尿などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。進行すると、腹部痛、体重減少、消化器症状など様々な症状が現れる可能性があります。

卵巣腫瘍の診断

卵巣腫瘍の診断には、経腟超音波検査、MRI検査、CT検査などが用いられます。腫瘍マーカー（CA125など）の測定も診断に役立ちます。悪性を疑う場合は、開腹手術を行い、組織学的検査によって確定診断を行います。

卵巣腫瘍の治療

卵巣腫瘍の治療法は、腫瘍の種類、悪性度、病期によって異なります。基本的な治療法は外科手術であり、悪性[[腫瘍]]の場合は化学療法が併用されることが多いです。手術には、卵巣摘出術、子宮摘出術、リンパ節郭清などがあります。化学療法では、TC療法、DC療法、ベバシズマブなどが用いられます。胚細胞腫瘍にはBEP療法が用いられることがあります。

まとめ

卵巣腫瘍は多様な種類があり、症状も様々です。早期発見が困難なため、定期的な検診や、気になる症状があればすぐに医療機関を受診することが重要です。本記事の情報はあくまで一般的なものであり、具体的な治療法などは医師の指示に従ってください。

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