厚東武実

厚東 武実の生涯と業績

厚東武実（ことう たけざね、生年不詳 - 貞和4年（正平3年）11月9日（1348年11月30日））は、鎌倉時代の末期から南北朝時代の初期にかけて長門国（現在の山口県）で権勢を誇った豪族の14代目当主であり、鎌倉幕府の御家人でした。彼の父は厚東武仲で、通称を太郎左衛門尉とし、出家後は太郎入道崇西と称しました。

初期の経歴

武実は鎌倉幕府の御家人として、長門探題の北条時直に仕官していました。彼の記録は嘉暦元年（1326年）9月15日、長門二宮忌宮神社の造営に関する幕府の沙汰に従うものであり、鎌倉時代の豪族としての役割が浮き彫りになっています。

元弘2年/正慶元年（1332年）9月には、北条高時の命を受けて募られた西国の武士たちと共に上洛し、元弘の乱に参加しました。元弘3年/正慶2年（1333年）には、北条時直の指揮のもと、帰洛に向かう途中で村上水軍に遭遇し、伊予国に転進した後、当地での戦闘では敗北を喫し、長門国へ退却します。

この敗北を経ても武実は廃幕派の反撃に対抗し、長門探題における北条氏の抗戦に尽力しましたが、最終的には道性側に寝返ります。道性側への返忠が評価され、彼は建武元年5月14日（1334年6月16日）に長門国守護に任命され、守護館に入ります。この昇進に際して、彼の子である武村にも豊前国の一定の地域が恩賞として与えられました。

足利尊氏との関わり

建武2年7月（1335年8月）、中先代の乱への出兵の途中、武実の子である武村が新田義貞の側で戦うことになります。しかし、新田軍は箱根・竹ノ下の戦いで敗北します。その後、尊氏が九州に侵攻すると、武実は大内長広らと共に尊氏側につき、九州においても南朝勢力に立ち向かいます。

尊氏が九州を平定した後、武実は彼の東上を支援し、さらに足利直義側に従って陸路を進軍します。延元元年/建武3年9月（1336年10月）には、石見国に出征し、石見国守護の上野頼兼を支援して南朝軍と戦いました。

晩年と死去

貞和3年（1347年）末から翌年の正平3年/貞和4年1月にかけて、武実は河内国の東条や四条畷で戦いを続けますが、体調を崩します。1348年3月5日（同年4月4日）に守護職を子の武村に譲渡し、同年11月9日（11月30日）には病がもとで京都で亡くなります。彼の法名は「浄名寺殿天庵崇西」とされ、葬地は京都の浄名寺です。

まとめ

厚東武実は、鎌倉幕府の時代から南北朝時代にかけての戦乱に身を投じ、数々の戦闘に参加した人物でした。その生涯は、当時の社会情勢を反映した豪族の動向を知るための貴重な資料となっています。彼の業績は故郷長門国の歴史に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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