原傑

原傑（げん けつ、1417年 - 1477年）は、明代の官僚であり、字は子英と称しました。彼の出身は沢州陽城県です。1445年（正統10年）に進士の試験に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

1447年（正統12年）には南京御史に任命され、その直後に北京御史へと転任しました。その後、巡按として江西を担当し、盗賊や不正を行う官吏を厳しく取り締まりました。さらに、巡按順天諸府も務めました。この時期、洪水が発生し、官馬の放牧を担当する者が飼料不足により多くの馬を死なせてしまうという事態が発生しました。官は牧者に損害賠償を求めましたが、原傑はこれを免除するよう進言し、受け入れられました。

また、開中法を利用して米を塩商人に運ばせ、飢饉に苦しむ人々を救済するよう提言し、景泰帝は彼の意見を採用しました。1456年（景泰7年）には江西按察使に抜擢され、寧王朱奠培の不正行為を明らかにし、その護衛を交代させるという功績をあげました。1461年（天順5年）には山東左布政使に転任しました。

1466年（成化2年）、原傑は右副都御史に任じられ、巡撫山東として赴任しました。凶作に見舞われた地域で、食料を配給するなどの救済活動を行い、流民の発生を抑制しました。1469年（成化5年）には北京に召還され、戸部左侍郎に就任しました。江西で反乱が発生した際には、現地に派遣され、600人以上を処刑し、残りの反乱軍を解散させるという厳しい対応を取りました。その後、左副都御史に転じ、再び北京に戻り、都察院の事務を補佐しました。

当時、荊州・襄陽では数十万人の流民が発生し、社会不安が高まっていました。1476年（成化12年）に原傑は巡撫として荊州・襄陽に派遣され、11万3000戸、43万8000人以上の人々を戸籍に登録しました。襄陽府に属していた鄖県に新たに鄖陽府を設置しました。任務を終えて帰還する際には、御史の呉道宏を後任として推薦しました。同年11月には、その功績が認められ、右都御史に昇進しました。

1477年（成化13年）4月、原傑は南京兵部尚書に任命されましたが、上奏して辞退を申し出ましたが、許可されませんでした。同年6月丙申に南陽で亡くなりました。享年61歳でした。死後、太子太保の位を追贈され、諡は襄敏とされました。彼の息子には原宗敏がいました。

原傑の生涯は、公正な行政と民を思う精神に貫かれていました。彼は各地でその手腕を発揮し、社会の安定に大きく貢献しました。その業績は『明史』にも記録され、後世に語り継がれています。

原傑は、官僚としての職務を忠実に遂行するだけでなく、民衆の生活向上にも尽力しました。飢饉に際しては、自ら率先して救済活動を行い、流民が発生するのを防ぎました。また、不正を行う官吏を厳しく処罰し、公正な社会の実現に貢献しました。彼は、まさに民衆のための官僚であったと言えるでしょう。

原傑の事績は、現代の私たちにとっても多くの教訓を与えてくれます。彼の公正さ、責任感、そして民を思う精神は、私たちが社会をより良くしていくために、常に心に留めておくべきものです。

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