都察院

都察院（とさついん）は、明朝から清朝にかけて存在した、官僚の職務を監察するための重要な官署です。満洲語では「uheri be baicara yamun」と記されます。

その起源は、漢代以来存在した御史台という監察機関に遡ります。明朝に入り、御史台を改組して都察院が設置され、その制度は清朝にも引き継がれました。都察院は、六部や五軍都督府と並び、三権の一翼を担う機関として位置づけられていました。また、刑部や大理寺と共に三法司と呼ばれ、百官の不正を糾弾し、重大な刑事事案を審議する役割も担っていました。

都察院には、左右の都御史が中心となり、副都御史、監察御史、僉都御史、経歴などの役職が置かれていました。都御史は都察院の長官であり、監察業務を統括しました。監察御史は、各官庁や地方に派遣され、官僚の職務遂行状況を監視し、不正を発見した場合は弾劾を行いました。

明朝中期以降、総督や巡撫が都察院の官職を兼任する事例が増加しました。これは、地方行政における政令の統一を図るための措置でした。総督や巡撫は、地方の行政と軍事を統括する重要な官職であり、都察院の職務を兼任することで、中央政府の意向を地方に浸透させ、行政の効率化を図りました。

清朝は、基本的に明朝の制度を継承しましたが、いくつかの変更を加えました。僉都御史を廃止し、左都御史・左副都御史を都察院の専任とし、右都御史・右副都御史を総督や巡撫の兼任と定めました。これにより、都察院の独立性を維持しつつ、地方行政との連携を強化しました。雍正元年（1723年）には、明代以来別の監察機関とされていた六科が都察院に統合されました。この統合により、監察機能が強化され、より広範囲な官僚の不正を監視することが可能になりました。

都察院は、官僚の不正を監視し、綱紀粛正を図る上で重要な役割を果たしました。その存在は、政治の安定と公正な社会の実現に貢献しました。

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