原恒雄

原恒雄 (はら つねお)

概要

原恒雄は、1944年5月14日生まれの日本の鉄道技術者、実業家、そして人事官です。東京大学工学部を卒業後、日本国有鉄道に入社。国鉄分割民営化後はJR東日本、鉄建建設を経て、JR東海で専務取締役総合技術本部長、代表取締役副社長を歴任しました。その後、人事院総裁に就任し、公務員制度改革における労使関係の問題について、積極的に発言しました。

生い立ちとキャリア

1967年に東京大学工学部を卒業後、日本国有鉄道に入社しました。国鉄分割民営化後の1987年からは、JR東日本で総合企画本部投資計画部長や取締役長野支社長などを務めました。その後、鉄建建設で専務取締役を務め、JR東海では専務取締役総合技術本部長、代表取締役副社長を歴任しました。このように、鉄道技術者としてのキャリアを着実に積み重ねていきました。

2006年4月12日には、佐藤壮郎の後任として人事官に任命されました。2期目の途中である2012年4月12日には、野田改造内閣の任命により第11代目の人事院総裁に就任しました。この人事は、1961年に入江誠一郎が就任して以来、50年以上にわたり幹部公務員出身者が任命されてきた人事院総裁のポストに、初めて民間企業（JRグループ）出身者が就任したことで、大きな注目を集めました。

人事院総裁としての活動

人事院総裁として、原は公務員制度改革における労使関係について、積極的な意見を発信しました。2010年2月9日に行われた朝日新聞のインタビューでは、「自律的労使関係」を掲げて民主党政権が進める、人事院の廃止と国家公務員への労働協約締結権付与を内容とした公務員制度改革について、様々な角度から十分検討する必要があると述べました。その理由として、内閣の当事者能力や、国鉄を含む三公社五現業の労使関係の経験、改革案と各国制度との相違点などを挙げています。

2012年4月の総裁就任会見でも、協約締結権の付与（人事院の廃止）について、「今までにない仕組みだからいろんな問題点があると思う。きちんと議論し、しかるべく機能する制度でなければいけない」と語りました。この発言は、慎重な姿勢を示したものとして受け止められました。

原の総裁任命にあたっては、藤村修官房長官が「公務員制度改革を進めていくためには、総裁には民間の感覚を有する方にご就任いただくことが適当と考えて」と、その理由を説明しました。これは、原がJRグループ出身であるという経歴が、公務員制度改革を推進する上で有効であると判断されたことを示しています。

人事院総裁は長らく幹部公務員出身者が務めていたため、原の民間出身という点は、一部メディアでも強調されました。原自身は就任記者会見で、「国鉄という『官』と、民間会社になったJRの両方の経験を生かして自分なりに任務を果たしたい」と抱負を述べました。2014年4月11日をもって退官しました。

受勲

2019年5月21日発令の春の叙勲で、旭日大綬章を受章しました。

まとめ

原恒雄は、鉄道技術者として国鉄からJRへ、そして人事院総裁へと、多様なキャリアを歩んできました。特に人事院総裁としては、公務員制度改革における労使関係について、深い知識と経験に基づいた見識を示しました。その発言は、公務員制度改革における重要な論点を示唆するものとして、注目されました。

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