原文良

原文良 - 日本映画の照明技師

原文良（はら ふみよし）は、1919年に栃木県で生まれた日本の映画照明技師です。彼のキャリアは多岐にわたり、さまざまな経験を経て特撮映画の世界へと足を踏み入れました。

経歴

彼は最初に日本郵船で船乗りとして5年半の期間を過ごし、欧州や南米を訪れる航路を巡っていました。この経験によって、彼はさまざまな国や文化に触れ、豊かな視野を持つことができました。戦後は運送会社に働きながら、電気に関する知識を深めていきました。運送業務の一環で、東宝へライトを運んだことが彼の運命を大きく変えることになります。

1947年に東宝の照明部へ入社した彼は、映画界の巨匠である黒澤明や成瀬巳喜男などの監督と共に仕事をする機会を得ました。特に、1954年に岸田九一郎の補佐として特撮映画の照明助手として活躍し、その後1967年には『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』にて照明技師としての地位を確立しました。その結果、フリーランスとして独立し、数多くの作品に携わりました。

戦争と運命

原の人生には、第二次世界大戦中の数々の奇遇も含まれています。日本郵船で母の死を悼んで下船した際、乗船していた船はドーバー海峡での戦闘に遭遇し、爆撃を受けて沈没しました。このような運命のいたずらから逃れた彼は、神戸での手旗信号の教官としての役割を果たした後、広島で再び潜水艦の攻撃に遭うなど、数回にわたって命を救われました。

また、徴兵の際には宇都宮から満州へ派遣される予定であったものの、思わぬ腹痛によって出征が翌年に持ち越され、その結果として全滅した部隊の運命から逃れることができました。このような様々な出来事が原の人生において重要な意味を持つこととなりました。

特撮映画と家族の絆

原は『ゴジラ』などの特撮映画に早くから関与しており、照明技師としての技術を磨いていきましたが、特技監督の円谷英二と直接のコミュニケーションをとるようになったのは、彼がこの業界で10年近く過ごした後のことでした。1971年に公開された『ゴジラ対ヘドラ』の中で、ヘドロの中に浮かぶ赤ん坊は原自身の孫であるというエピソードもあり、家族との絆がこの作品を通じて強調されています。

映画とテレビドラマ

原は『帰ってきたウルトラマン』などのテレビドラマにも照明技術者として参加し、特撮の世界における照明技術の発展に寄与しました。彼の手がけた多くの作品は、今もなお観客を魅了し続けています。

原文良は、日本映画界において重要な役割を果たし続けており、その業績は多くの映画ファンや業界関係者に評価されています。

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