原爆の子の像

原爆の子の像：平和への願いを伝えるモニュメント

広島平和記念公園に佇む原爆の子の像は、1958年5月5日に建立されました。この像は、原爆によって白血病で亡くなった佐々木禎子さんをモデルとして、彼女の同級生らが募金活動によって実現させたものです。像の制作者は菊池一雄氏です。

禎子さんの死と像建立への軌跡

1955年11月、新聞で禎子さんの死を報じた記事を読んだ少年が、原爆で亡くなった子どもたちの霊を慰める石碑を建立しようと提案しました。この提案が契機となり、禎子さんの同級生を中心に、像建立に向けた活動が始まりました。

活動は、同級生8人によるビラ配りから始まり、全国の中学校から寄付金が集まりました。その後、広島市内の小・中・高校にも呼びかけ、児童生徒の会が組織され、街頭での募金活動も展開されました。1956年末までには、540万円もの多額の寄付金が集まり、その活動は全国、そして海外へと広がっていきました。

この活動は、映画『千羽鶴』（木村荘十二監督）としても作品化され、多くの人々に感動を与えました。現在も、図書館などで鑑賞できます。

像と石碑：平和へのメッセージ

像の真下には石碑が設置されています。石碑には、犠牲となった子どもたちへの慰霊と世界平和への願いが刻まれています。石碑の裏面には、全国の支援を受け、広島市内の子どもたち有志によって設置されたことが記されています。

石碑内部には鐘が設置され、折り鶴を象った錘が風を受けて揺れると風鈴のような音が鳴る仕組みになっています。鐘には湯川秀樹博士の揮毫が刻まれています。

また、原爆体験者の証言をまとめた『原爆の子〜広島の少年少女のうったえ』（長田新編、岩波書店）も、この像の背景を理解する上で重要な資料です。

放火事件と折り鶴

かつては、像の周囲に多くの折り鶴が置かれていましたが、雨による劣化や度重なる放火事件への対策として、2002年に雨よけ屋根が設置されました。しかし、2003年には再び放火事件が発生し、折り鶴保管施設の一部が焼損する被害を受けました。

平和への願いを継承する像

原爆の子の像は、単なるモニュメントではなく、原爆の悲劇を語り継ぎ、平和への願いを未来へと繋ぐ象徴です。像の建立には、多くの人の思いと努力が込められています。私たちは、この像を通して、平和の大切さを改めて認識し、未来への責任を担っていく必要があります。禎子さんの願い、そして像建立に関わった人々の願いを胸に、平和な世界の実現に向けて、一人ひとりが行動していくことが重要です。

関連情報

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扇ひろこ（演歌歌手。「原爆の子の像」がデビュー曲）
* 広島市ホームページ（折り鶴と「原爆の子の像」に関する情報）

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