原田伴彦

原田伴彦とは

原田伴彦（はらだ ともひこ、1917年3月11日 - 1983年12月8日）は、日本の歴史学に多大な影響を与えた学者であり、大阪市立大学の名誉教授として知られています。彼は生涯を通じて、部落差別の撤廃に取り組み、日本の歴史研究における重要な人物とされています。

生い立ちと教育

原田は満州奉天（現在の瀋陽）に生まれ、本籍地は佐賀県にあります。幼少期の2歳で家族と共に東京に移住し、長野県の旧制松本中学に進学しました。その後、1936年には旧制松本高等学校文科甲類を卒業し、さらに1939年に東京帝国大学文学部国史学科を卒業しました。

職業歴

卒業後、彼は国民新聞社の記者として活動し、国民生活研究会に参加して皇国史観に異を唱えましたが、その後徴兵されてしまいます。戦後、1946年に復員し、1948年までは松本商業学校の教員を務めました。その後、信陽新聞社に入社し論説委員となりますが、レッドパージによって職を追われることとなります。

1952年、原田は大阪市立大学経済学部に講師として招かれ、54年には助教授、59年には教授に昇進しました。この間、1969年から1970年にかけては経済学部の部長を務めました。1980年に定年退職した後は名誉教授として八代学院大学経済学部で教鞭を取りました。

研究活動と業績

原田は1962年に「日本封建制下の都市と社会」をもとに大阪市立大学から経済学博士の学位が授与されました。その間、彼は部落問題研究所の理事として1953年から1966年まで活動し、同和問題研究室や大阪府同和対策審議会でも重要な役割を担いました。また、部落解放研究所の初代理事長としても貢献し、奈良本辰也と共に部落史に関する研究を行いました。

彼の著作『被差別部落の歴史』（1973年）は、部落史の標準的な通史として多くの人々に長く読まれることとなりました。

受賞歴と名誉

原田はその功績により、1975年に松本治一郎賞を受賞し、部落差別撤廃に向けた啓蒙活動や同和行政に尽力しました。彼の死後、1992年には部落解放研究を対象とした原田伴彦賞が創設され、その後、原田伴彦記念部落史研究奨励金へと名称が変更されました。

著書と編著

彼の研究成果は『原田伴彦著作集』全7巻や『原田伴彦論集』全5巻として出版されています。これらの著作は、彼の学術的な業績と部落解放への貢献を確認するための重要な資料となっています。

原田伴彦は、歴史学における彼の重要な研究と社会運動における彼の足跡を通じて、今なお多くの人々に影響を与えています。彼の業績は、部落差別を考える上で欠かせないものとされています。

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