原田信種

原田信種：激動の時代を生き抜いた武将

原田信種（はらだ のぶたね）は、安土桃山時代の武将であり、大蔵氏の嫡流である原田氏の第80代当主です。筑前高祖山城（現在の福岡県糸島市）を本拠地とし、通称を五郎、下総守と称しました。その生涯は、戦国時代から安土桃山時代という激動の時代を色濃く反映しています。

龍造寺氏の麾下として

信種の出自は、肥前松浦の草野鎮永（宗揚）を実父とします。草野氏は龍造寺氏に従属していたため、信種は幼少期に人質として佐賀に送られました。その後、草野家で家督争いが起こり、信種は原田氏の養子として迎えられ、原田姓に復帰します。元服の際には龍造寺隆信より偏諱を授かり「信種」と名乗り、さらに隆信の娘（養女とも）を妻として娶りました。これにより、信種は龍造寺氏との結びつきを強め、その配下として活躍することになります。

戦場での活躍と苦悩

信種は龍造寺氏の武将として、筑前西部を中心に勢力を拡大しました。筑紫広門と協力して那珂郡に進出し、砦を築いて兵を配置しました。しかし、立花道雪率いる大友勢との間で激戦が繰り広げられ、岩戸合戦で敗北を喫します。その後、家中では、実父である草野宗揚が権勢を振るい、家臣団との対立が激化します。波多氏との鹿家合戦では、信種自らが陣頭に立ち、波多勢を打ち破るという武功を挙げました。

豊臣秀吉の九州征伐と所領没収

龍造寺隆信の戦死後、信種は島津氏に従属します。しかし、豊臣秀吉が九州征伐を開始すると、原田家臣団は秀吉への降伏を主張します。信種はこれを拒否し、高祖城に籠城しますが、小早川隆景率いる豊臣軍に包囲され、最終的に降伏します。秀吉は信種の降伏を認めましたが、所領を過少に申告したことを理由に旧領を没収し、筑後国への国替えを命じます。これにより、信種は長年守り抜いた故郷を失うこととなりました。

その後の動向

国替え後、信種は加藤清正の与力として、文禄・慶長の役で朝鮮に出兵します。しかし、その後の足取りは明確でなく、没年や没地についても諸説あります。『大蔵朝臣原田家歴伝』では慶長3年の第二次蔚山城の戦いで戦死したとされますが、『大藏姓原田氏編年史料』では文禄5年以前に死亡したと主張されています。信種が降倭（朝鮮への降将）となった沙也可であるという説もありますが、史料から信種が文禄5年まで生存していたことが確認できるため、この説は否定されています。

結論

原田信種は、戦国時代から安土桃山時代という激動の時代を生き抜いた武将でした。龍造寺氏の配下として活躍し、数々の戦で武功を挙げました。しかし、時代の波に翻弄され、最終的には所領を失い、その最期も不明のままという悲劇的な側面も持ち合わせています。彼の生涯は、戦国時代の武将の栄光と悲哀を象徴するものと言えるでしょう。

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