原田與作

原田與作：札幌の近代化を牽引した市長

原田與作（はらだ よさく、1900年4月10日 - 1979年2月2日）は、第6代札幌市長として、1959年から1971年までの3期12年間にわたり市政を担いました。栃木県に生まれ、北海道開拓の歴史と、その後の札幌の発展に大きく貢献した人物です。

生い立ちと志

1902年、原田は3歳で家族とともに北海道名寄市に入植。厳しい開墾生活を送る中で、村の学校教師に感銘を受け、自身も教師を志すようになります。札幌師範学校に進学するも、都会的な校風に馴染めず退学。その後、上京して新聞配達や内閣統計局でのアルバイトをしながら日本大学法学部夜間部に通い、東京市職員講習所を首席で卒業後、東京市職員となります。

東京市職員として

東京市役所では水道局に配属され、統計事務の改善や関東大震災からの復旧に尽力。その能力を高く評価され、23歳で主任に抜擢されます。財務局予算係長として、財源確保に奔走し、幻となった1940年東京オリンピックの計画にも携わりました。

札幌との繋がり

過労で倒れたことをきっかけに東京市役所を退職後、かつての上司であった上原六郎に誘われ、1945年に札幌市役所に入職。助役として、戦後の復興と近代化に尽力します。上原の公職追放後は、実質的な市政責任者として、高田富與市長と共に札幌市の発展の礎を築きました。

札幌市長として

1959年、原田は札幌市長に初当選。「市民相談室」を設置し、市民の声を積極的に市政に反映させました。浄水場の拡張、市立高校の建設、平岸霊園の整備など、市民生活に直結する事業を推進。人口100万人を目標とした大規模な総合計画を立案し、その一環として冬季オリンピックの札幌招致に尽力します。1968年の第10回大会招致は失敗に終わるものの、1972年の第11回大会招致を見事成功させました。地下鉄計画、下水道整備、豊平峡ダム建設、札幌駅前通拡幅、競技場建設など、「市民のためのオリンピック」を念頭に置いた都市開発を推し進めました。

市民生活の向上

原田市長は、市民生活の向上にも力を注ぎました。1962年には交通安全都市を宣言。1963年には「札幌市民憲章」を制定し、市民としての誇りと連帯感を醸成しました。1964年には「市民の歌」と「市旗」を制定し、札幌市民のアイデンティティを確立しました。

退任後

1971年、3期12年の任期満了に伴い市長を退任。1972年には、北海道開発功労賞・北海道功労賞（スポーツ部門）を受賞。札幌の発展に大きく貢献した功績が称えられました。

著書

原田は、その経験と知識を後世に伝えるため、2冊の著書を執筆しています。

『自治体生活五十年』時事通信社、1971年。
『私の五十年』北海道新聞社、1976年。

原田與作は、札幌の近代化を牽引し、市民生活の向上に尽力した名市長として、その名は永く札幌市民の記憶に刻まれています。

もう一度検索