原町 (仙台市)

仙台市宮城野区原町：宿場町から現代都市への変遷

仙台市宮城野区に位置する原町は、長い歴史と幾多の変遷を経て現代の姿に至った地域です。古くから交通の要衝として栄え、近世・近代を通じて仙台の発展に大きく貢献しました。本稿では、原町の歴史と地理的特徴を詳細に解説します。

地理的特徴

原町は仙台市の東部、宮城野区の中心部に位置します。古くから街道が通っていたことから、人々の往来が盛んでした。仙台市が政令指定都市に移行する前は、UR仙台原町団地に仙台市役所東支所が置かれ、移行後は陸前原ノ町駅前に宮城野区役所が設置されています。明治・大正時代には宮城郡原町として知られ、仙台市編入後は原町小田原、原町南目、原町苦竹といった地名が広く使われていました。現在の範囲は、1丁目から6丁目までで、小字として原町南目、原町苦竹の一部が残っています。現在の宮城野区役所の所在地である五輪地区も、かつては原町小田原の一部でした。

歴史

江戸時代

江戸時代、原町は仙台城下から東へ向かう街道の宿場町として発展しました。苦竹村と南目村にまたがる形で設置された原町宿は、仙台城下から石巻、気仙へと続く街道の重要な拠点でした。この街道は石巻街道、気仙街道、南部海道とも呼ばれ、原町宿で石巻方面と気仙方面に分岐していました。戦国時代には南北方向の街道が通っていたと考えられていますが、藩政時代になって東西方向に改められました。

原町は物流の拠点でもありました。七北田川の流路変更に伴い開削された運河を通じて、塩竈湊から運ばれた船荷は、舟入掘、七北田川、舟曳堀を経由し、原町の藩の蔵場まで運ばれていました。江戸時代初期に用いられた牛車による輸送方法は、当時の状況を反映した特異な事例と言えます。また、原町には代官所が置かれ、城下町以外の宮城郡の一部を管轄していました。俳人の田村巣居が原町に居住していたことも知られています。

明治・大正・昭和初期

明治時代、原町は仙台周辺における流通の中心地として繁栄しました。米穀商が集まり、米、麦、大豆の集散地となり、魚介類の交易も盛んでした。1880年には魚問屋が誕生し、塩竈や七ヶ浜からの海産物が仙台に運ばれる重要な経路となっていました。

1889年、南目村、苦竹村、小田原村の合併と北六番丁の一部編入により、原町が自治体として成立しました。1918年には仙台市による原町と長町の合併構想が持ち上がりましたが、郡制の存在が障壁となり実現しませんでした。郡制廃止後の1928年、長町と共に仙台市に編入合併されました。人口は約1万人でした。この際に、古くからの地名である「原町」を残すため、行政区画に原町苦竹、原町小田原、原町南目が設置されました。同年、NHK仙台放送局がラジオ本放送を開始し、原町にはNHK原町ラジオ放送所が設置されました。

1925年には宮城電気鉄道（現在の仙石線）が開通し、陸前原ノ町駅が開業。1932年には東北本線の中間駅として東仙台駅が開業しました。日中戦争勃発後は、軍需工場の建設が進み、原町苦竹には東京第一陸軍造兵廠仙台製造所が建設されました。1942年には仙台市電原町線の建設が始まり、1948年に完成しました。1943年には、軍需工場への工員輸送のため、苦竹駅が設置されました。

昭和中期から平成

太平洋戦争終結後、原町苦竹の東京第一陸軍造兵廠仙台製造所は進駐軍に接収され、キャンプシンメルペニヒとなりました。その後、陸上自衛隊仙台駐屯地となりました。原町小田原の陸軍用地は払い下げられ、工場などが建設されましたが、現在は商業店舗が立ち並んでいます。原町南目は流通センターとして整備され、仙台中央卸売市場が1973年に移転しました。

1960年代には商業が繁栄し、多くの店舗が軒を連ねました。映画館なども存在していました。しかし、仙台市電の廃止や仙台市中心部や郊外の発展に伴い、商業は次第に衰退していきました。1987年には原町本通りがコミュニティ道路となりました。1989年の政令指定都市移行に伴い、陸前原ノ町駅前に宮城野区役所が設置されました。2012年には宮城野区文化センターが開館しました。

施設

原町には、仙台市立原町小学校、東岡幼稚園、宮城野区役所、陸前原ノ町駅、仙台市立宮城野中学校、宮城野区文化センター（宮城野図書館）、仙台東郵便局、仙台市宮城野消防署、仙台東警察署などがあります。

まとめ

原町は、江戸時代の宿場町から、明治期の商業の中心地、そして現代の住宅地や商業地へと、時代とともにその姿を変えてきました。その歴史は、仙台市の発展と深く関わっており、現代においても重要な役割を担っている地域です。

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