原胤信

原胤信（はら たねのぶ）

原胤信（1587年 - 1623年）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての旗本であり、キリシタンとしても知られています。通称は原主水（はら もんど）として知られています。

生涯

原胤信は、千葉氏の重臣である原胤栄の孫として、臼井城で生まれました。父である原胤義は、後北条氏の人質となっていた千葉重胤に付き従って小田原城に入ります。しかし、豊臣秀吉による小田原征伐の際に祖父が急死、父も小田原城に籠城していたため、幼い胤信は同族の原邦房に代わって臼井城に入りました。その後、臼井城は豊臣軍に包囲され落城。父は、千葉氏が後北条氏に味方した責任を問われ失踪しました。

その後、徳川家康に小姓として召し出されます。1600年、大坂にてモレホン神父から洗礼を受け、キリシタンとなりました。1603年には走衆の頭となり、1607年からは駿府で家康に仕え、御徒組頭や鉄砲組頭に抜擢されるなど、若くして重用されました。

しかし、1612年の岡本大八事件をきっかけに、江戸幕府はキリシタンへの弾圧を本格化させます。キリスト教を信仰する旗本に対し、棄教が命じられましたが、胤信はこれを拒否。岩槻藩に住む親族のもとへ出奔し、密かに布教活動を続けました。1614年、藩主の高力忠房に捕らえられ、棄教を迫られますが、これも拒否。さらに、駿府城における不審火の捜査線上に原主水とその妻が浮上したこともあり、家康は激怒。胤信は額に十字の烙印を押され、手足の指を全て切断、足の筋を切られた上で1615年に追放されました。

追放後も胤信は布教活動を続け、江戸・浅草のハンセン病患者の家を拠点としますが、密告により捕らえられました。1623年、宣教師ら47名とともに江戸市中を引き回された後、高輪の札の辻にて火刑に処されました（江戸の大殉教）。処刑直前には、「私が苦難に耐えてきたのは、キリストの真理を証明するためであり、私の切られた手足がその証である」と述べたと伝えられています。この処刑は、徳川家光が将軍職を世襲した後も、禁教政策が変わらないことを示すためのものでもありました。

なお、明治初期のプロテスタント信徒である原胤昭は、原胤信の大叔父にあたる原胤親の子孫であり、後に原宗家が断絶した原因がキリシタン弾圧にあったことを知り、その功績を伝えることに尽力しました。

関連項目

ペトロ岐部と187殉教者
元和キリシタン遺跡　胤信殉教の地

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