原駒子

原駒子：昭和を彩った「姐御女優」の生涯

原駒子（はらこまこ、1910年2月26日 - 1968年12月28日）。その名は、昭和時代のスクリーンを彩った個性派女優として、多くの映画ファンに記憶されている。妖艶な魅力と圧倒的な存在感で、「姐御女優」と称された彼女の生涯は、激動の時代と深く結びついていた。

1910年、神奈川県横浜市に生まれた原駒子（本名：倉形駒子）は、14歳の若さで松竹キネマ下加茂撮影所に入社。1924年公開の『落日の夢』で鮮烈なデビューを飾る。その後、帝国キネマ演芸、東亜キネマと移籍を繰り返し、1931年までに109本の映画に出演。若くして人気女優の地位を確立した。同年、俳優の羅門光三郎と結婚するも、1934年には離婚。

東活映画社を退社後は、夫と共に富国映画社を設立するも、すぐに宝塚キネマに移籍。その後も、日活、市川右太衛門プロダクション、第一映画、嵐寛寿郎プロダクションなど、数々の映画会社を転々とした。この時代、彼女は常に主演を務め、その演技力は高く評価されていた。1935年にはマキノトーキー製作所に参加し、26本の作品に出演。同社閉鎖後は日活京都撮影所に移籍し、脇役として27本の作品に出演した。

第二次世界大戦後、1949年の『大江戸七変化』でスクリーンに復帰。1952年の『西鶴一代女』を最後に女優業を引退した。引退後は、大阪・北新地でクラブ「クレーン」を経営。華やかな女優生活とは異なる人生を歩むことになる。1968年、急性肺炎のため58歳でこの世を去った。

原駒子のフィルモグラフィは、日本の映画史において重要な位置を占める。松竹、帝国キネマ演芸、東亜キネマ、マキノトーキー製作所、日活など、数々の名門映画会社で活躍し、多くの名監督と作品を生み出した。彼女の出演作品は多岐にわたり、時代劇から現代劇まで、幅広い役柄を演じ分けた。特に、妖婦や毒婦といった悪女役を得意とし、独特の存在感を放つ演技は多くの観客を魅了した。

彼女が築き上げたキャリアは、単に「女優」という枠を超える。多くの映画会社を転々とした経験、そして時代劇全盛期から戦後の新時代への移り変わりを生き抜いた彼女の生き様は、まさに昭和という激動の時代そのものだったといえるだろう。

数々の映画作品への出演は、日本の映画史に大きな足跡を残しており、現在でも高い評価を得ている。原駒子の生き様と女優としての才能は、多くの後世の俳優に影響を与え続けている。彼女の作品を通して、昭和時代の日本映画、そしてその時代に生きた人々の姿を知る事ができるだろう。

主な出演作品

『落日の夢』 (1924年)
『嘆きの村』 (1924年)
『愛するが故に』 (1925年)
『愛傷』 (1926年)
『砂絵呪縛』シリーズ (1927年)
『新版大岡政談』シリーズ (1928年)
『月形半平太』 (1929年)
『清川八郎』 (1930年)
『霧の中の白蓮』 (1931年)
『薩南大評定 黄金篇/万能篇』 (1931年)
『韋駄天数右衛門』 (1933年)
『愛憎峠』 (1934年)
『マリヤのお雪』 (1935年)
『月形半平太』 (1935年)
『江戸噺鼠小僧』 (1935年)
『國定忠治 信州子守唄』 (1936年)
『忠治血笑記』『忠治活殺剱』 (1936年)
『女左膳』 (1937年)
『恋山彦 風雲の巻/怒濤の巻』『血煙高田の馬場』 (1937年)
『弥次㐂夛道中記』『忠臣蔵 天の巻・地の巻|忠臣蔵_天の巻・地の巻』 (1938年)
『振袖御殿』 (1941年)
『大江戸七変化』 (1949年)
* 『西鶴一代女』 (1952年)

これらの作品は、原駒子の華麗なる女優人生と、激動の昭和時代を象徴する重要な資料である。

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