羅門光三郎

羅門光三郎：剣戟スターの生涯

羅門光三郎（らもん みつさぶろう、1901年10月10日 - 1976年5月6日）は、日本の俳優です。本名は岩井憲次（いわい けんじ）。旧芸名に岩井健夫、芳澤一郎があります。主に剣戟映画で活躍し、昭和初期の時代劇スターとして名を馳せました。

新派俳優から映画界へ

1901年、大阪府西成郡今宮町（現在の大阪市西成区）で生まれた羅門は、成器商業学校を中退後、1921年に新派成美団に入団。武村新に師事し、関西の劇場を中心に舞台俳優として活動しました。その後、浅草の小劇場などにも出演し、演技の幅を広げました。

1927年、悪麗之助が設立した映画製作会社で映画デビュー。当初は本名の岩井憲次、または岩井健夫の芸名で活動していましたが、東亜キネマに入社後、同社の剣戟スターだった光岡龍三郎に師事。「ラモン」はアメリカの映画俳優ラモン・ナヴァロから、「光」は師匠の光岡から、「三郎」は光岡の名の三郎から取り、羅門光三郎と改名しました。当初は助演が多かったものの、村越章二郎監督作品を中心に活躍し、東亜キネマの時代劇スターとしての地位を確立しました。

1931年には、直木三十五原作の映画『南国太平記』で月形龍之介と競演し、その演技が高く評価され、一躍トップスターとなりました。また、同じく東亜キネマの女優であった原駒子と結婚しています。

三流キネマ時代と苦難

東亜キネマの経営悪化後、羅門はいくつかの映画会社を渡り歩きます。1932年には富国映画社に入社するも、同社はすぐに解散。その後、かつてのヒット作『南国太平記』を引っ提げて実演の旅に出ますが、宝塚キネマに移籍後も、会社の解散を経験するなど、不遇の時代を過ごします。

1935年、極東キネマに移籍し、再び主演作に恵まれますが、原駒子と離婚。さらに、極東キネマが分裂した際には甲陽映画社に加わり、サウンド版映画にも挑戦しました。しかし、この会社も経営不振で解散。その後、今井映画製作所に移り、短期間ながら主演作品を重ねました。

大映での活躍と晩年

1938年、新興キネマに入社し、約10年に及んだ苦難の時代に終止符を打ちます。1942年には、新興キネマが大映に統合されたため、大映京都撮影所に所属。阪東妻三郎、片岡千恵蔵、市川右太衛門、嵐寛寿郎といった時代劇スターと共演し、戦争末期まで活躍しました。

戦後、GHQの時代劇規制により現代劇への出演を余儀なくされます。しかし、1946年に立ち回り中に左眼を負傷、失明してしまいます。一説には、メチルアルコールを飲んだことが原因とも言われています。1952年に時代劇の規制が解かれると、再び時代劇に復帰するも、主演作は減り、脇役としての出演が多くなりました。1962年には失明の影響で健康を損ね、翌年の『座頭市兇状旅』を最後に映画界から姿を消しました。

羅門光三郎の出演作品は、戦前169本、戦後113本に及びます。

引退後の消息

引退後の羅門は、1970年頃に京都双岡病院に入院し、その後老人ホームに入所していたと言われています。長らく没年不明とされていましたが、1976年5月6日に74歳で亡くなったことが判明しました。

羅門光三郎は、その波乱に満ちた生涯を通して、多くの人々に感動を与えた不屈の映画俳優でした。

主な出演映画

1927年：彼は復讐を忘れたか
1929年：唐人蝙蝠伝
1931年：南国太平記
1938年：里見八犬伝
1940年：天野屋利兵衛
1942年：維新の曲
1953年：雨月物語
1963年：座頭市兇状旅

関連事項

中島らも（筆名・芸名の「らも」は羅門光三郎にちなむ）
原駒子

外部リンク

羅門光三郎 - 日本映画データベース
羅門光三郎 - KINENOTE
* Mitsusaburô Ramon - IMDb

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