口角下制筋

口角下制筋の解説

口角下制筋（こうかくかせいきん）、英語では「depressor anguli oris muscle」と呼ばれるこの筋肉は、人間の頭部に位置する浅い筋肉群の一部です。主に上唇と口角を下に引く働きを持ちます。また、オトガイ三角筋とも称されるこの筋肉は、顔の表情を形作る上で重要な役割を果たしています。

構造と起始・停止位置

この筋肉は、下顎骨の下顎体斜線に起始し、具体的には犬歯から第一大臼歯の位置にあたる部分から始まります。その後、口角付近の皮膚と口輪筋の上部に停止します。この筋肉が口角付近に位置するため、主に口元の表情に直接関与しています。特に、口角において「モダイオラス」と呼ばれる点を形成します。

口角下制筋は、顔面神経の頬筋枝に支配されており、顔面神経がこの筋肉に信号を送ることで、その動作が可能となります。このことから、口角下制筋は神経的な影響を受けやすい部分であることが示唆されています。

表情における役割

この筋肉の主な機能は、口角を下げることであり、特に不機嫌な表情や、悲しみ、怒りなどのネガティブな感情を表す時に活発に働きます。表情筋の一部として、私たちの感情表現の一助となります。口角下制筋が適切に機能することで、心の状態や感情を他者に伝えることが可能になります。

近傍の筋肉との関係

口角下制筋の近くには、他にもいくつか重要な筋肉があります。例えば、口唇下制筋、オトガイ筋、口輪筋、広頚筋、さらには笑筋などがそれにあたります。これらの筋肉は、それぞれが異なる役割を持ちながらも、連携して口元の動きや表情を形成します。特に笑筋は、口角を持ち上げる動きを担当しており、対称的な動作を行います。

発達と影響

口角下制筋は、胎生27週目においても確認されることが報告されています。このことは、胎児の段階で既に顔の表情表現が始まることを示唆しています。つまり、生まれたばかりの赤ちゃんにもこの筋肉の機能が備わっている可能性があります。

まとめ

口角下制筋は、日常の表情の中で重要な役割を果たしている筋肉です。その働きを理解することで、私たちは他者の感情をより良く読み取ることができるかもしれません。この筋肉の知識は、表情の解剖学や感情の研究においても極めて重要です。

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参考文献

• - Drake, Richard (2011). 「グレイ解剖学」 (原著第2版 ed.). エルゼビア・ジャパン. ISBN 978-4860347734

関連項目

• - 顔
• - 解剖学（口腔解剖学）
• - 人間の筋肉の一覧

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